2004-01-01から1年間の記事一覧

「タブーの漢字学」

基本的にはまじめな本なのだが、その内容は結構、衝撃的だった。まず、「一人前の男」を示す「士」の意味。 甲骨文字では P29 >男性の性器が雄々しく勃起している形さらに、「士」に限らず、「且」も勃起しているペニスの形だそうだ。 だからセックスの結果…

性同一性障害の苦痛は変化に対してである3

昨日、おとといは個人の変化について述べたが。 変化は相対的な場合もある。 つまり自分自身は変化してなくても、周りが変化していればそれも変化と感じるということ。たとえば、思春期。 FTMでは声変わりはしない。 しかし、周りのこれまで一緒に遊んでいた…

性同一性障害の苦痛は変化に対してである2

「人文系新刊情報サイト」なるページの「今月のちょっと気になる本・注目したい本」に、 「私(わたし)たちの仲間 結合双生児と多様な身体の未来」が選ばれていた。 すばらしい。それはさておき。 昨日の続き。昨日は性同一性障害では、心と体の性別の不一…

性同一性障害の苦痛は変化に対してである1

私が勝手に「カフカ理論」と呼んでいる、たとえ話がある。非性同一性障害者に対して、性同一性障害の苦悩を理解してもらうための、たとえ話だ。 「あなたが男性だとして、ある朝、目がさめたら、心はそのままで、体だけ女性になったらどう思いますか。 性同…

年の瀬、定番ネタの、今年の漢字。2002年は「立」。 2003年は「惑」。 であったが。今年は、やはり「潜」かな。息を潜めて、珊瑚の海に潜り、魚の生態を静かに観察していた、 そんな1年。でも、良く考えると 「もぐりの医者」 というのはやばいかも。

生瀬克己

「見世物小屋の文化史」で、生瀬克己論文が良かったので、関連書籍二冊読む。「日本の障害者の歴史―近世篇」は、江戸時代の文献を中心に、障害者の扱いを研究。 時に保護されたり、時に見世物になったり。 非常にアカデミックな1冊。「障害者と差別語―健常者…

トリビア

水曜日ということで、トリビアねたを2つ。 ネタ本は、しつこく引用した Transgenderism and Intersexuality in Childhood and Adolescence: Making Choicesより。 引用は今日で最後。・ 「最初のポストオペMTFは、男に戻った。」ネタ部分の訳。 P157 最初の…

Skoptic syndrome・スコプティック症候群

酒ばかり飲んで日記を書くと、脳みそが腐るので、今日は勉強。 2004年10月17日の日記で「睾丸切除のみ希望するもの」については少し論じたが。「Skoptic syndrome」(スコプティック症候群)なる概念があるらしい。 日本では知られていないようなので、紹介…

「自分の顔が許せない!」

「自分の顔が許せない!」を読む。 「美容整形の女王」中村うさぎと、「顔にアザのあるジャーナリスト」石井政之の対談。石井氏の著書はこれまで、「肉体不平等」「文筆生活の現場」を紹介し、これで3冊目か。Amazonの読者書評では、ぼろぼろに叩かれているが…

宮台真司

ミーハーなもので。 JASEの、渋谷知美さんがしきる宮台真司トークセッションを聴きに行く。 会場は60人ほどで満員で、若い女性も多く、さすがの人気。 トークは正直かなりぬるかった。 教祖様の話を聞く信者たちという感じで。しかし、質疑応答の質問者が、 …

「ヒジュラ―インド第三の性」

インド帰りということで本棚にあった「ヒジュラ―インド第三の性」 を読み直す。 この本、昔読んだ気もするが、その時は、適当に斜め読みしていた。熟読すると、やはり興味深い。 以下、気付いたことメモとコメント。・ ヒジュラは外性器切除をした、元男性が…

東京地裁司法クラブ記者会見

東京地裁2階 司法記者クラブ 惕時。 gid.jp記者会見。テレビカメラ:TBS、テレビ東京 記者:11名、写真撮影していたもの2名。 なじみの顔はなく、純粋に記者クラブのメンツと思われる。壇上:山本蘭、藤崎はるか、山田ナナ10月末現在 申立100、許可52、審理…

当院GID(性同一性障害)クリニック受診者の性指向と同胞内順位について

精神神経学雑誌2004.106.10.P1337 を読んでいたら。第105回北海道精神神経学会の中に、17.当院GID(性同一性障害)クリニック受診者の性指向と同胞内順位について 小野澤淳 (札幌医科大学神経精神科)という演題発見。MTF24名を調べたところ、同性愛(男性…

性指向別の性同一性障害5

だいぶ間隔があいたが。 ここが面白いところだったので。 しつこいがここでいう同性愛TSとは、MTFなら、男性が好き、FTMなら女性が好き、を指す。 11月10日の続き。 Transgenderism and Intersexuality in Childhood and Adolescence: Making Choicesより。 …

法律時報 学会回顧

早いものでもう12月。 というわけで法律時報12月号恒例の「学会回顧」。100pの、「民法/家族法」にも、特例法、同性婚関係あるが。「ジェンダーと法」のP310「八 セクシュアリティ」が詳しい。前略 >赤杉康伸=土屋ゆき=筒井真樹子編『同性パートナー』(…

ジョンマネー双子症例の教訓

本日、某所より問い合わせ。「ジョンマネー双子症例とは違い、女性のアイデンティティになった例を教えてくれ」 とのこと。お安い御用と、以下のを紹介。http://pediatrics.aappublications.org/cgi/content/full/102/1/e9症例の要約46XY男性として誕生。 …

インドで杏野も考えた8

というわけで、朝無事帰国。 疲れていたが、日記も一挙に書き終えた。 体重、測ったら61.8kgで2kg太ってた。 カレーの食いすぎ。 まあまあのたびであったが、 カジュラホにいけなかったのが残念。

インドで杏野も考えた7

タージマハルへ。 きれい過ぎて、ちょっと離人感。夜、帰国のため、空港へ。セキュリティーチェックで、かばんに隠していたおみやげの人工ペニスがみつかる。“What’s this?” (やばい、でも正直に言おう。) “It’s a penis.” (よくみると、係りの人はきれい…

インドで杏野も考えた6

空路デリーへ。何百年とさびない鉄の塔とか。 宇宙人が作ったという説も。ガンジー暗殺の場所とか。さすがに疲れてきた。 といいながら、夜、ホテルのジムでトレーニング。

インドで杏野も考えた5

性科学会は終わり、本日より歴史学、考古学の研究に。アジャンタ石窟寺院。 さすが。 時間は短かったが、走って全部見たぞ。エローラ石窟寺院。 すばらしい。女装した男児? 真相は不明。 実は女児という説もあり。ちなみにガイドさんの話では 「ヒジュラは、…

インドで杏野も考えた4

学会最終日。朝。 Neo-Tantra By Mr. Oren Gani & Ms. Haya Caspi (Israel)タントラセックスはかなり怪しい。 向かい合って、動物のような叫び声をあげるとか。Beyond the G-spot By Prof. Beverly Whipple (U.S.A.)Female ejaculationの成分は、おしっこじ…

インドで杏野も考えた3

学会2日目。午前。“The development of China Sex Museum” By Prof.Dalin Liu (China)中国のセックス博物館。 温泉の秘宝館とは違い、まじめに充実。The Development of Sexual and Gender Identity By Prof. Milton Diamond (Hawaii)大体は、何度も聞いた…

インドで杏野も考えた2

学会初日。学会場はタージマハルホテルl。で、Asia Pacific Conference of Sexology.が始まる。ざっとみたところ、参加者400名。 内訳、インド人7割、その他アジア2割、欧米人1割、という感じかな。 正式発表は不明。 日本からは参加者約30名発表11題。開会…

インドで杏野も考えた1

空路、インドへ。 機内暇なので「河童が覗いたインド」でにわか勉強。 カースト制について、 「制度を批判するインド人は多いが、そういう人も、自分より身分の低い人を差別する」 という記述に妙に納得。 深夜ムンバイ着。河童が覗いたインド (新潮文庫)作…

強迫と脅迫

「強迫」とは精神医学を少しでもかじったことがあれば、誰でも知っている言葉だ。 簡単に言うと 「ばかげていると分かっているけどやめられない」 こと。 たとえば 「ばかげたことが頭から離れない」 「不潔と思い手洗いがとまらない」 「何度も鍵の確認をし…

中年になるとFTMは治癒する?

性同一性障害統計を推定していてふと疑問に思ったこと。ご存知のように、FTMは受診者年齢は20歳台に大きな山がある。 30歳台と10歳台もまあまあいるが、40歳を越すとまれになる。これは日本に限らず、外国でも同様で、普通 「FTMは若い頃から、性別違和を強…

日本の性同一性障害総数2

>日本に何人の性同一性障害の人がいるかなど誰にも分からないのである。と書いてから、舌の根も乾いていないが。 推測方法を思いついたので書く。 非常に大雑把な概算だが。まず、1997年ごろから、2004年現在まで、受診者は約3000人。 ということは、1年で4…

女性セブンと週刊文春

既読者多数とは思うが。女性セブン2004.11.25.P195-197 本当の性を勝ち得るまで(カルーセル麻紀談) >それで埼玉医大で体全体を調べてもらったの。(女性器が)ついているかどうかも診てもらって、確かに女だって診断書もらって。その後、ここに行ってくだ…

日本の性同一性障害総数

眠いので簡単におとといの続き。「日本にGIDが8000人」の推定がナンセンスと思う理由。 今のところ、受診者実数は3000人。 で、大体、毎年500人ぐらいが新たに受診。 このペースこれまでのところ増えることあっても減ることはない。 すると、あと10年で、10×…

特例法要件関連推定統計

長崎新聞 2004.11.9.に次のような記載。 http://www.nagasaki-np.co.jp/news/kako/200411/09.html#01>GIDの人は全国に七千―八千人いるとされるが、子どもの有無など特例法の要件が壁になり、実際に性別変更できるのは百人前後にとどまるとみられている。…