「自分の顔が許せない!」

「自分の顔が許せない!」を読む。
「美容整形の女王」中村うさぎと、「顔にアザのあるジャーナリスト」石井政之の対談。

石井氏の著書はこれまで、「肉体不平等」「文筆生活の現場」を紹介し、これで3冊目か。

Amazonの読者書評では、ぼろぼろに叩かれているが、私としては、顔面、身体と、アイデンティティの関係を自分の言葉で2人が語っていて、大変興味深かった。

石井さんとは、何度かあった事はあるが、顔面のあざに関しては、最初にあったとき、0,03秒ぐらい
「この人は顔にあざがあるんだな」
と情報インプットしたあとは、特に気にも留めていなかったのだが、本人的には非常に重要なことのようで、ある意味驚きであった。

169-176pでは性同一性障害の話題も。
石井さんの婦人公論性同一性障害に記事は比較的客観的に書かれていたが、この本では本音が出ていて面白かった。
一部引用。


中村 p170-171
>でも、女であることに違和感を、居心地の悪さみたいなのをずっと感じてきたんですよ。私、ゲイの友達が多いんだけど、ゲイの友達とは親和性が高いんです。たぶん、魂がオカマなんだと思う。魂がオカマなので、子宮を取って、オッパイがつくり物で、というふうに身体がニューハーフになっていくと、魂と肉体が初めて合致するわけですよ。

石井 p175-176
>そのなかでも、虎井まさ衛さんの環境適応能力は抜群だと思います。性同一性障害の当事者のために戸籍の性別変更を認めさせる運動をしていたとき、厚生労働省法務省の役人に囲まれていた虎井さんは、さえない中年のおっさんという風情でした。あの普通の感じが、とってもいい。役人も安心して、「性別変更オーケー!」という判断を下したんだと思うんですね。望みの肉体を手に入れるまでの虎井さんの苦労をほんの少し知る者として、この中央官庁の役人たちを安心させたボディイメージについては、ほんとうに頭が下がります。どこまで演技なのかわからないけど、敵をつくらない政治的手腕は天性のものだと思います。


ちなみに、今回の金八では、顔面にあざのある教師が出て、石井さんがモデルのようだ。
性同一性障害から顔面のあざ、という思考の流れ、個人的には分かる気がする。