うらやすだより

第171回浦安ジェンダークリニック委員会(9/13)報告
 
 ●個別症例検討:3例
   ホルモン療法開始:  2名 承認
   ホルモン療法継続:  0名 承認
   ホルモン療法再開:  0名  承認
   乳房切除術   :  2名 承認(行徳、山梨)
   性別適合手術  :  1名 承認(行徳)
   第二次性徴抑制療法: 0名
     ( FTM 3名、 MTF 0名 )
   
   以上、3名が承認されました。

うらやすだより

第170回浦安ジェンダークリニック委員会(8/23)報告
 
 ●個別症例検討:1例
   ホルモン療法開始:  1名 承認
   ホルモン療法継続:  0名 承認
   ホルモン療法再開:  0名  承認
   乳房切除術   :  1名 承認(山梨大学
   性別適合手術  :  0名 承認
   第二次性徴抑制療法: 0名
     ( FTM 1名、 MTF 0名 )
   
   以上、1名が承認されました。
 
 
 
よろしくお願いします

うらやすだより

第169回浦安ジェンダークリニック委員会(7/12)報告

 

 ●個別症例検討:4例

   ホルモン療法開始:  2名 承認

   ホルモン療法継続:  1名 承認

   ホルモン療法再開:  0名  承認

   乳房切除術   :  2名 承認(行徳、山梨大学

   性別適合手術  :  1名 承認(行徳)

   第二次性徴抑制療法: 0名

     ( FTM 3名、 MTF 1名 )

   

   以上、4名が承認されました。

国連のトランスジェンダーの定義。クロスドレッサーの誤読に注意。

 原稿を書いた後も、「オートガイネフィリアが含まれるという言説はどこから生まれるのか」というのが謎だったので、ずっと考えていた。ちょっと謎が解けた気がするので、解説したい。

 

まずは、よく引用される、国連のトランスジェンダーの定義。

www.unfe.org

>Transgender (sometimes shortened to “trans”) is an umbrella term used to describe a wide range of identities whose appearance and characteristics are perceived as gender atypical —including transsexual people, cross-dressers (sometimes referred to as “transvestites”), and people who identify as third gender. 

トランスジェンダー(「トランス」と略されることもある)は、性転換者、クロスドレッサー(「トランスヴェスタイト」と呼ばれることもある)、第三の性としてアイデンティティのある人々など、その外観と特徴が非定型の性別として認識される、広範囲のアイデンティティを表すために使用されるアンブラタームだ。

 

 

これだと、ちょっとわかりにくいが、ジェンダーアイデンティティの記述を読むと分かりやすい。

>Gender identity reflects a deeply felt and experienced sense of one’s own gender. Everyone has a gender identity, which is part of their overall identity. A person’s gender identity is typically aligned with the sex assigned to them at birth. Transgender (sometimes shortened to “trans”) is an umbrella term used to describe people with a wide range of identities – including transsexual people, cross-dressers (sometimes referred to as “transvestites”), people who identify as third gender, and others whose appearance and characteristics are seen as gender atypical and whose sense of their own gender is different to the sex that they were assigned at birth. 

性同一性は、自分自身の性別についての深い実感と経験した感覚を反映する。誰もが性同一性を持っており、それは全体的なアイデンティティの一部だ。人の性同一性は通常、出生時に割り当てられた性別と一致する。トランスジェンダー(「トランス」と略されることもある)は、性転換者、クロスドレッサー(「トランスヴェスタイト」と呼ばれることもある)、第三の性としてアイデンティティのある人々、外見と特徴が非定型の性別として見られ、彼ら自身の性別の感覚は彼らが出生時に割り当てられた性別とは異なる人々を含む、広範囲のアイデンティティを持つ人々を表すために使用されるアンブラタームだ。

 

 

要するに国連のトランスジェンダーの定義は、非定型的なジェンダーアイデンティティを持ついろんな人、ということだ。

 

ここで、クロスドレッサーは文脈からしても「非定型的なジェンダーアイデンティティを持ち、異性装をする人」という意味だろう。

 

私自身クロスドレッサーcrossdresserは文献等で「精神医学的用語のtransvestiteに対して、脱病理化の主張を込めて、異性装者をそう呼ぶようになった」という理解だった。

だから、国連の定義も、さっと、何も引っかかることなく読んでいた。

 

だが、あらためてcrossdresserを検索してみて驚いた。特に2ページ目からは、謎のエロページ誘導サイトがずらっとならぶ。つまりcrossdresserはポルノ英語というか、性的行為を強く連想させる使用例が多い。

 

だとすれば、そういう英語に慣れ親しんでいると、国連のトランスジェンダー定義を読んで「クロスドレッサー」という用語が含まれていると、誤読し、autogynephiliaと近似の意味で理解しうるということもおこるのだろう。

 

ただ、やはりそれは誤読であり、ここでのクロスドレッサーcrossdresserは「非定型的なジェンダーアイデンティティを持ち、異性装をする人」という意味だろう。

うらやすだより

第168回浦安ジェンダークリニック委員会(6/14)報告

 

 ●個別症例検討:3例

   ホルモン療法開始:  2名 承認

   ホルモン療法継続:  0名 承認

   ホルモン療法再開:  0名  承認

   乳房切除術   :  1名 承認(山梨大学

   性別適合手術  :  0名 承認

   第二次性徴抑制療法: 1名

     ( FTM 2名、 MTF 1名 )

   

   以上、3名が承認されました。

特例法制定時頃の議論

参議院法制局川崎氏。P92

また、性同一性障害者が生殖機能を喪失する前に精子又は卵子を凍結保存し、それを用いて生殖補助医療により子を持つことの問題も想定され得ないわけではないが、この問題は、どのような場合に生殖補助医療を認めるかということにかかわってくるものであり、検討が行われている生殖補助医療に関する法制度の問題として、それとの関連において、どう対処すべきか判断さることになってこよう。

 

 

 

大島俊之先生

P107-108

また、法理論的にも、「現に子がいないこと」という要件には重大難点があります。次のような事例を考えてみましょう。①独身のAが、未婚の女性Bに子Cを産ませたが、認知はしていませんでした。②Aは性同一性障害の診断を受け、性別適合手術を受け、戸籍上の性別を男性から女性に変更しました。(この時点では、Cを認知していないAには、法的な子がいないことになります)。③その後、AがCを認知しました。認知には遡及効がありますので(民法784条前段)、③の時点で行った認知は①の時点まで遡ってその効力を持つことになります。したがって、Aは②の時点で子がいたことになります。そうすると、Aは「現に子がいないこと」という要件を満たしていなかったことになります。この場合には、戸籍上の性別表記の変更は有効なのでしょうか、それとも無効なのでしょうか。この問題について、特例法は何も規定していません。

 

針間

P83-84

精子保存、性別適合手術、その精子を利用して子供を持つ、戸籍変更申し立ての順番の場合、戸籍変更は、その時点で子供がいるために認められません。しかし、精子保存、性別適合手術、戸籍変更申し立てですと、戸籍変更は認められます。そして保存後に保存精子を利用すれば、子供を持つことは可能です。そうすると戸籍の性別はどうなるのでしょうか。特例法は「現に子がいないこと」という要件であり、その後に子供を持つことを禁止しているわけではありません。ただ、「生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること」という要件もあります。結局、特例法はこういった状況を想定しないために、結論は今のところははっきりしません。

 

 

 

以上、川崎、大島、針間の議論を紹介したが、その後、子なし要件は未成年子なし要件に変更になったこと、FTMの子どもが嫡出子として認められたこと、という時代の変化があり、議論の再検討は要すると思う。