特例法要件関連推定統計

長崎新聞 2004.11.9.に次のような記載。
http://www.nagasaki-np.co.jp/news/kako/200411/09.html#01

GIDの人は全国に七千―八千人いるとされるが、子どもの有無など特例法の要件が壁になり、実際に性別変更できるのは百人前後にとどまるとみられている。

あまり実態に即した数値、表現の記事とはいえないと思う。
統計マニアの私としては、可能な限り実態に即した数値を流布していただきたいので、以下推定を交えながらの特例法要件関係統計。

まず、1996年当時、外国統計から類推した7000-8000という推定値は、今となってはほとんど意味はない。
土台となるべきは、その後の日本の統計。

性同一性障害者」
国内の主要医療機関受診者は延べで約4000人(確実)、実数で約3000人(ほぼ確実)。
この3000人の中には、暫定的な性同一性障害診断も含む。
そのうち、2名の精神科医に確定診断を受けたものはおよそ1000人ぐらいか(ある程度推定)。
MTF:FTMは半半で、500人ずつぐらいか。
そのほかのものは、精神科医1名のみの診断か、確定診断のため通院中。

SRS済み
FTMでは、50人ぐらいか。そのほとんどは2名の精神科医の診断ありと思われる。
MTFでは500から1000人ぐらいか。その中で2名の精神科医の診断ありは、100から200人ぐらいか。
つまりMTFでは、SRS済だが、2名の精神科医の診断がないものがかなりいる。

子供
FTMでは、約1%が子供あり。子供ありでSRS済みはまれと思われる。
MTFでは、約10%が子供あり。子供ありでSRS済みは、500から1000人の1割弱とすれば、おおよそ50名程度か。

婚姻
FTMでは約5%に婚姻歴あり(離婚含む)。SRSまで求めるもので、婚姻を継続するものはまれと思われる。
MTFでは約20%に婚姻歴あり(離婚含む)。多くが離婚するが、婚姻を継続してのSRSを行ったものもある程度いる。

以上より要件に該当するものは、FTMで50名程度、MTFで100から200名程度と推定される。
最高裁統計では9月までの申し立てが72件。
また、現在すでに、主要医療機関に診断書作成を依頼し完成を待つものが、100名前後いると推定される。
よって合計172件となり、要件該当者に近似した数値となる。

以下は、要件非該当者のポイントをまとめる。
FTMでは、2名の精神科医の診断を受けた約500名のうち、大多数がSRS要件のため、該当しない。
MTFでも、2名の精神科医の診断を受けた約500名のうち、多数(数百)のものがSRS要件のため、該当しない。
また、MTFでは、SRS済みでも2名の精神科医の診断がないため、該当しないものも多数(数百)いる。
さらにMTFでは、SRS済みでも、子供がいたり、婚姻したりしていて該当しないものが数十名いる。

以上。