中年になるとFTMは治癒する?

性同一性障害統計を推定していてふと疑問に思ったこと。

ご存知のように、FTMは受診者年齢は20歳台に大きな山がある。
30歳台と10歳台もまあまあいるが、40歳を越すとまれになる。

これは日本に限らず、外国でも同様で、普通
FTMは若い頃から、性別違和を強く感じて早く受診する」
と説明され、みな、なんとなく納得している。

だが、この説明、外国はともかく、日本ではおかしい。
日本では、治療が開始されたのは、ここ1997年頃からのこと。
すると、1997年以前からの未治療のFTMはがたくさんいるはずで、1997年以降、受診に来てもおかしくはない。
つまり、たとえば、50歳ぐらいの人が
「自分は昔から男性になりたかったが、どうすればいいか分からなかった。でも、日本でも治療できるようになり、ようやく受診することができた。」
といって、医療機関に来てもいいはずである。

現に、MTFはこういう人はたくさんいる。
しかし、FTMではまれだ。
なぜだろう。
理由を推測した。

1. FTMは加齢とともに性別違和が弱まる説。
年をとると、自然と性別違和が弱まるのかもしれない。
20歳の頃は強烈に違和があっても、40過ぎれば弱まるのかも。
閉経すれば、月経の苦痛もなくなるし。

2. 年齢とともに社会的性役割の圧力が弱まり、性別違和も減少説。
20代の頃の女性というのは、常に男からはセックスの対象に見られるし、会社ではホステス扱いだし、親からは、結婚をうるさく言われ、非常に女性性役割への圧力が強い。
しかし、年齢とともに、そういう圧力が弱まるため、性別違和も弱くなるのかも。

3. 家庭状況からあきらめる説。
結婚して夫に経済的に依存していたり、子供がいたりすると、たとえ内的には性転換願望を秘めていても、行動には移せないのかもしれない。

もし、1説、2説が正しいとしたら、「長期的には性別違和は弱まる可能性もあるから、20歳代で、性別違和を訴えても、じっくり経過を見る必要がある。」なんて、治療指針が生まれるかもしれないけれど。