ここが変だよ、DSM-5,性別違和の日本語訳 1.

DSM5の性別違和の日本語訳、一通り読んだ。
正直、かなりやばいレベルでは。
読んでて意味が分かりにくかった。
まあ、専門でもあるし、英文で読んでいたので何とかなったが。
素人さんが読んだら、意味が分かりにくいので、お経と同じで、権威を感じてありがたく感じるのかもしれないが。
でも一般の精神科医がこれを読んで、正しく理解できるかはかなり疑問。


わかりにくいだけでなく、問題が非常に多い。

1.他の日本語文献を参照してない。
関連する用語を知らないのか、独自の用語使いあり。せめてガイドラインくらいは読んでほしい。
2.DSM-IVとの連続性がない。
IVの訳語から、特に議論、必然性、合理性もなく訳語が変わっている個所がある。
3.DSM-5の中でも訳語に統一性がない。
さらに致命的なのは、DSM-5の中でも、訳語が不統一な点がある。
せめて、同じ本の中では統一してほしい。


DSM-IVでもたまにelectrolysisを「脱毛」でなく「電気分解」などの珍訳もあったが、5では明らかに日本語訳のレベルが下がっている。


翻訳者を見ると、各大学の先生方の名前がずらりと。
IVでは20数人だったのが100名規模にふくれあがっている。
まあ大学の医局員総出で分担翻訳したのだろうが。
ほぼ無償での仕事だろうし、頭は下がるのだが。
DSMは精神医学のバイブル的立場であるので、もう少しなんとかならなかったかと残念。


このシリーズ、続けるつもりだが、予告編として問題。
すべて日本語訳本からの引用だが。
以下の意味は分かるか?

「異性間の性ホルモン治療」
「性別転換行動」
「性転換の広がりの全領域」