gender dysphoriaの訳語

gender dysphoriaの訳語は「性別違和」が一般的だが。
http://d.hatena.ne.jp/annojo/20080531参照。


一方で、DSM-IV-TRの巻末の専門用語集では、以下のような記載がある。


>gender dysphoria
A persistent aversion toward some or all of those physical characteristics or social roles
that connote one’s own biological sex.
>性別不快気分 gender dysphoria
自分自身の生物学的性と関連した身体的特徴または社会的役割りの一部のまたはすべての側面に対する持続的な嫌悪.
(P784)

つまりDSMの日本語翻訳者はgender dysphoriaを「性別不快気分」と訳している。


このように日本の精神医学ではgender dysphoriaの訳語には「性別違和」と「性別不快気分」がある。


意味としては、「性別違和」はやや弱い気がする。
つまり「違和」だと、「なんとなくしっくりと来ない感じ」というニュアンスで、強い嫌悪感ではない。
「女性としての、自分、なんかちょっと違うんだよねえ」といった感じになってしまう。
いっぽうで「不快気分」は嫌悪感がはっきりと表現されている。
ただ、「不快」というのは単なる好き嫌いの問題として誤解される恐れもなくはない。
「女であるのが嫌だなんて、ただのわがままだろ」というふうに。


こうして考えると「gender dysphoria」の訳語は、結構難しい問題かも。
DSM5で採用されたら、その日本語訳、結構悩むかも。