「DSM5:遅発型FTMのほとんどは男性好き」の考察。

「DSM5:遅発型FTMのほとんどは男性好き」はいくつか疑問がある。


まず遅発型の定義。「around puberty or much later in life」(思春期頃または人生のずっと後期)とある。
思春期頃、違和出現、というのは結構いると思うが・・。


DSM-IVでは、早発型は「小児期または青年期早期に発症」、遅発群は発症時期は明確化されず「もっと年齢が高くなってから徐々に現れ」「成人期早期または中期になって受診」、とある。


いっぽう、DSM5では早発型は小児期に発症、とある。
すなわち、思春期発症の扱いが、DSM-IVと5では微妙に違う。変更の理由は不明。
「思春期頃」というのは定義としてアバウトすぎて、早発型、遅発型の明確な区切りが出来るのかかなり疑問。


また、出生時女性の遅発型性別違和は、出生時男性と比較して、非常に少ない、と述べている。
この点は特に異論はないが、そうすると元データの患者数も相当少ないのではないか。
ひょっとしたら、元データが分からないが、文献としてはひとつなのかもしれない。


FTMは女性を好きになることから違和感を意識し始めることが多いので、男性好きな場合、違和感を持つのが遅れるというのはありうる。
個人的経験としても、違和感持つのが遅い場合に男性好きの人が多いという印象もあるが、「usually」というほどの割合ではないと思う。


ひょっとしたら、元のデータとなる論文を書いた研究者が、男性と結婚歴のあるFTM
「結婚歴があるから遅発型」「結婚歴があるから男性好き」などと判断したとか。
そうすると元の情報を二通りに解釈しただけなので、ナンセンスだが・・。
結婚歴がある場合、行動面の評価では、遅発型、男性好き、となるかもしれないが、
本人に聞くと「違和は前からあったが」「女性の方が好きだが」「我慢して結婚」と語られることもあり、
その場合は、内面的主観的には、早発型で、女性好き、となるが・・。


まあ、日本では、FTMゲイだと診断されにくいのでは、という危惧から、本当のことが語れず、実際より少なく見える、ということもあるかも。


いずれにせよ、元の文献の中身を知りたいところだ。