和歌る?紀になる!:性同一性障害、どう支援 周囲の理解、苦しみ軽減 /和歌山

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和歌る?紀になる!:性同一性障害、どう支援 周囲の理解、苦しみ軽減 /和歌山
毎日新聞 2013年06月16日 地方版

 和歌山市で先月あった世界ボクシング評議会(WBC)女子フライ級タイトルマッチで、性同一性障害の真道(しんどう)ゴー選手(25)=同市出身、本名・橋本めぐみ=が初の世界王者に輝いた。学生時代に、周囲に理解されず自殺も考えた真道選手。試合直後、同じ障害の人たちに向けて「前向きにありのままで戦う姿を見せることで、元気になってくれたら」と語った。私は真道選手を知るまで、この障害のことを詳しくは知らなかった。そもそも、どんな障害なのだろうか。【竹内望】

 「病気ではない。心理学的性と生物学的性の不一致に悩む状態」と説明するのは、和歌山市松原通4の日本赤十字社和歌山医療センター(073・422・4171)精神科部長の東睦広医師(46)。東医師は、受診に訪れる幅広い世代の男女に「治療というよりは、苦しみを軽減する支援」を行い、慎重に見極めた上で診断書を出す。「職場で心理学的性に合ったトイレを使いたい」などの思いがある場合、診断書があれば周囲が理解を示すこともあるという。

 精神医学の教科書「標準精神医学」(医学書院)によると、米国では、性同一性障害の出現率は男性は10万に1人、女性は40万人に1人。国内の人数は、よく分かっていないが、日本精神神経学会の調査では2007年までの約10年間で、約7200人が診断を受けた。

 医学的治療法には、主にホルモン療法、乳房切除手術、性別適合手術がある。性同一性障害特例法では、成人で性別適合手術済みなどの条件を満たせば、性別は変えられる。ただ、東医師は「手術は海外で受ける人が多いが、副作用や術後のケア方法が確立しておらず、リスクを伴う」と指摘。手術などは保険適用外のため高額でもある。何より大切なこととして「周囲の人たちが、理解し受け入れること」を挙げる。

 県精神保健福祉センター(同市手平2)は「こころの電話」相談を実施している。尾崎裕美主査は「人間関係に困っている相談の背景に、性同一性障害があることも」と話す。そんな時は、県内医療機関や当事者同士が交流するセクシュアルマイノリティー(性的少数者)の自助グループ「チーム紀伊水道」(http://kii.coron.jp/)を紹介している。

 東医師は「一人で悩まず、医療機関や支援団体に相談してほしい」と呼びかけている。