「Amputee Identity Disorder」(四肢切断同一性障害)のメモ書きの続き、今日で最後。
この著者はapotemnophilia(四肢切断愛)にかわり、Body Identity Disorderという概念を提唱。
DSMに掲載されることを主張し、その記載例を記している。
以下試訳。
身体同一性障害 Body Identity Disorder
診断的特徴
身体同一性障害には2つの要素があり、診断を下すためにはその両方が存在しなくてはならない。障害に対する強く持続的な同一感の証拠が存在していなければならず、それは自分が障害者になりたいという欲求、または自分の内面が障害者であるという主張である(基準A)。この障害に対する同一感は、単に障害者であることによって得られると思う文化的有利性に対する欲求だけであってはならない。また、非障害者であることに対する持続的な不快感、または非障害者の役割についての不適切感も存在していなくてはならない(基準B)。他の医学的疾患や精神疾患でうまく説明がされる場合にはこの診断は与えられない(基準C)。診断を下すには臨床的に著しい苦痛または社会的、職業的または他の重要な領域の機能における障害の証拠がなくてはならない(基準D)。
障害に対する同一感は、障害のある人間の生活に関する活動への著しいとらわれとして顕在化する。同一化している特定の障害の種類によって、四肢を曲げたまま締めることで切断を模倣したり、四肢を何かに固定することで麻痺を模倣したりする。障害のある人々を補助する道具への強い魅惑を持つこともある(例:車椅子、装具、杖、補綴)。
この障害を持つ成人の多くは、障害者の一人として生きたいという願望にとらわれている。その方法は、障害の真似をする道具を用いることによってであったり、望みの障害を獲得する結果となる事故を起こすという過激なやり方であったりする。自発的に自己の運動性を制限する道具を用いるものは、しばしば「プレテンダー」(真似する者)と呼ばれる。自宅でこっそりと真似をするものもいれば、公衆の面前で行うものもいる。社会生活全般を障害のあるふりをすれば、自分の欲望がうまく制御できると感じるものもいる。「障害の真似」を行うもののほとんど全員が口をそろえて、真似をしているときには完全な感じを持ち、障害のない人間として過ごしているときにはその完全な感じはなくなると述べる。この障害のある人は、絶望のあまり、障害者になろうと自己の生命を危険にさらすこともある。たとえば、チェーンソーで四肢を切断するものや、四肢を失うために線路に四肢を置くものや、自己の四肢を銃で撃つものや、脊髄損傷をしようと屋根から飛び降りるものがいる。