性同一性障害の女性、逸失利益“男性基準”で支払い命令

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090204-OYT1T00445.htm
性同一性障害の女性、逸失利益“男性基準”で支払い命令
 戸籍上は女性だが、男性として社会生活を送っている30歳代の性同一性障害者(千葉県)が、交通事故で重い後遺症が残ったとして、事故の相手に約6400万円の損害賠償を求めた訴訟で、岡山地裁倉敷支部(安西二郎裁判官)が、男性の平均賃金を基準に逸失利益を算定し、被告に約2500万円の支払いを命じていたことがわかった。

 判決によると、2003年8月、アルバイト店員として働いていた原告は、岡山県倉敷市内の国道を自転車で横断中、乗用車にはねられて頭を強く打ち、高次脳機能障害の診断を受けた。裁判で、原告側は「男性として生活していた」として、男性の賃金基準での賠償を求め、被告側は「女性労働者の賃金を基準にすべきだ」などと主張していた。
 安西裁判官は判決で、原告が、読み方が男性に多い名前に改名し、男性ホルモンの投与を継続するなどしていた性同一性障害者と認め、逸失利益を男性労働者の基準で算定した。
 性同一性障害に詳しい大島俊之・九州国際大教授は「戸籍にとらわれず、生活実態に即して柔軟に判断した珍しい判決だ」と話している。
(2009年2月4日11時56分 読売新聞)


http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2009020401000359.html
男性基準で賠償命令 「女性」の性同一障害者に
2009年2月4日 12時35分
 戸籍上の性別は女性だが男性として暮らす30代の性同一性障害者の原告が、交通事故で後遺症を負ったとして事故の相手に損害賠償を求めた訴訟の判決で、岡山地裁倉敷支部が男性に適用される基準で算定した損害額を賠償するよう命じていたことが4日、分かった。
 性同一性障害学会理事長の大島俊之九州国際大教授によると、判決は極めて珍しく「裁判所が戸籍を唯一無二の判断基準にしなかったことは大変良いことだ」と評価している。
 安西二郎裁判官は判決理由で(1)既に名前を変えている(2)ホルモン治療を継続中−と指摘。「男性労働者平均賃金を基礎収入とするのが相当」と判断し、被告に約2550万円の賠償を命じた。
 判決によると、千葉県に住む原告は2003年8月、倉敷市の国道で自転車で走行中に車にはねられ、高次脳機能障害などの後遺症を負った。
(共同)


山陽新聞2009.2.4.
http://www.sanyo.oni.co.jp/sanyonews/2009/02/04/2009020401132080000.html
戸籍上の女性を男性として額算定
交通事故賠償訴訟で地裁倉敷支部
 戸籍上は女性だが、男性として暮らす30代の性同一性障害者=千葉県=が交通事故で重い後遺症が残り、事故の相手に損害賠償を求めた訴訟で、岡山地裁倉敷支部(安西二郎裁判官)が男性の平均賃金を基準に賠償するよう命じる判決を出していたことが3日までに分かった。
 同様のケースは全国でも極めて珍しく、弁護士で性同一性障害学会の大島俊之理事長は「戸籍上の性別は当事者にとって形式的なもので、絶対的な基準ではない。原告は男性として社会生活を送っており、実態に即した柔軟な判断」と評価している。


朝日新聞関西2009.2.4
http://www.asahi.com/kansai/kouiki/OSK200902040052.html
戸籍上女性の性同一性障害者に「男性として賠償」の判決
戸籍上は女性だが男性として生活する性同一性障害者=千葉県=が、交通事故で重い障害が残ったとして、事故の相手に損害賠償などを求めた訴訟で、岡山地裁倉敷支部(安西二郎裁判官)が原告の請求通り、男性労働者の平均賃金を基準に算定した逸失利益を支払うよう命じていたことが4日、わかった。性同一性障害学会理事長で九州国際大法学部の大島俊之教授は「戸籍を唯一無二の基準とせず、社会生活の実態に即して判断したのは評価できる」と話している。判決は昨年10月27日付。

 判決によると、原告は25歳だった03年8月、岡山県倉敷市の国道を自転車で横断中に乗用車にはねられて外傷性くも膜下出血などの重傷を負い、高次脳機能障害と診断された。

 裁判で、原告側は「戸籍上は女性だが、事故前から男性ホルモンの投与を受け、普段は男性として生活していた」と主張。男性労働者の平均賃金をもとにした賠償を請求した。これに対して被告側は、原告は職を転々としており、事故前の収入は男性労働者の平均賃金より大幅に少なかったと述べ、女性労働者の平均賃金に基づくのが相当と主張した。

 判決は、原告が事故前に改名し、性別適合手術を強く望んでいたことなどから原告の性同一性障害を認定。逸失利益は、高卒の男性労働者の平均賃金をもとにした基準を用いて算定するのが相当だと述べた。そのうえで、事故について原告に5割の過失があったと判断し、請求額約6400万円に対して約2500万円の支払いを命じた。

 原告側の代理人は「社会生活上は男性なので、本人の気持ちと生活に合った基準で判断されるのは当然」と話している。


産経
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090204/trl0902041954010-n1.htm
戸籍上「女性」に男性基準で賠償命令
2009.2.4 19:51

 戸籍上の性別は女性だが男性として暮らす30代の性同一性障害者の原告が、交通事故で後遺症を負ったとして事故の相手に損害賠償を求めた訴訟の判決で、岡山地裁倉敷支部が男性に適用される基準で算定した損害額を賠償するよう命じていたことが4日、わかった。
 性同一性障害学会理事長の大島俊之九州国際大教授は「裁判所が戸籍を唯一無二の判断基準にせず、生活実態に即した柔軟な判断をした珍しい判決」と評価している。
 安西二郎裁判官は判決理由で(1)既に名前を変えている(2)ホルモン治療を継続中−と指摘。「男性労働者平均賃金を基礎収入とするのが相当」と判断し、被告に約2550万円の賠償を命じた。
 判決によると、千葉県に住む原告は平成15年8月、倉敷市の国道で自転車で走行中に車にはねられ、高次脳機能障害などの後遺症を負った。
 原告側は賠償額の算定基準について「男性として生活していた」として男性労働者の平均賃金を根拠にするよう主張。被告側は女性の基準適用を求めていた。
 判決は昨年10月27日付。



http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090204-00000152-mai-soci
性同一性障害者>事故被害で訴訟 「男性」認定され賠償額
2月4日22時24分配信 毎日新聞


 戸籍上は女性だが、男性として生活する千葉県内の30代の性同一性障害者が、交通事故の相手に約6400万円の損害賠償を求めた訴訟で、岡山地裁倉敷支部(安西二郎裁判官)が、男性の平均賃金を基準に逸失利益を算定し、約2550万円の支払いを命じていたことが同支部などへの取材で分かった。

 昨年10月の判決(確定)によると、原告は03年8月、岡山県倉敷市の国道を自転車で横断中、乗用車にはねられ、頭を強く打って高次脳機能障害の後遺症が残った。原告側は、男性ホルモンの投与や女性名を改名したことなどを挙げて、男性労働者としての賠償を主張。安西裁判官は原告を「生物学的には女性だが、心理的には男性」として性同一性障害を認定し、「男性の平均賃金を採用すべきだ」と結論付けた。

 性同一性障害学会理事長を務める九州国際大の大島俊之教授(民法)は「戸籍を唯一の基準にしない柔軟な判断で、当事者の生活実態にも合っており評価できる」と話している。大島教授によると、同趣旨の判決は東京地裁で99年、女性として生活していた戸籍上の男性が、顔に傷を負わせた相手に賠償を求めた訴訟で、同地裁は逸失利益を男性より高額な女性として算出している。【松井豊】


http://www.tmcnet.com/usubmit/2009/02/04/3962079.htm
2009.2.4.
Kyodo news summary -4-+

Plaintiff with gender identity disorder wins damages suit in rare ruling

OKAYAMA, Japan - A person with gender identity disorder, who was born as a woman but has lived as a man, won 25.5 million yen compensation, based on the average wage of male workers, in a damages suit over brain damage caused by a traffic accident, legal sources said Wednesday.

The plaintiff in his 30s suffered brain damage after being hit by a car in Kurashiki, Okayama Prefecture, in August 2003, and filed the suit against the driver at the Kurashiki branch of the Okayama District Court, arguing the damages should be estimated on the premise that the plaintiff is a male.


http://mdn.mainichi.jp/mdnnews/news/20090205p2a00m0na012000c.html
Woman living as man wins damages over gender discrimination following accident
KURASHIKI, Okayama -- A court has awarded some 25 million yen in damages to a woman living as a man by calculating her lost earnings as a male employee following an accident, it has been learned.

The Kurashiki branch of the Okayama District Court made the decision in October last year after a woman in her 30s from Chiba Prefecture -- who is suffering from gender identity disorder and is living as a man -- filed a suit over a traffic accident that left her with serious injuries.

According to the ruling, the plaintiff was hit by a car while crossing a national road in Kurashiki on a bicycle in August 2003 and was left with serious head injuries.

The plaintiff, whose gender on her family register is female, claimed that she should be awarded some 64 million yen in damages as the equivalent of lost earnings she was supposed to have made as a male worker. The plaintiff cited that she was administered with male hormones and that she had changed her name to that of a man.

The court, complying with her claim, calculated her lost earnings based on the average wage for men and awarded her about 25.5 million yen in compensation.

"The plaintiff is biologically a woman, but she is psychologically a man," said Judge Jiro Anzai in handing down the ruling. "She should be awarded the average wage for men," he said.

Professor Toshiyuki Oshima at Kyushu International University, who heads the Japanese Society for Gender Identity Disorder, praised the ruling.

"It was a flexible decision and merits credit in that it fits with the actual living conditions of the person involved," he said.

The ruling is not the first of its kind, according to Oshima. In 1999, the Tokyo District Court awarded a man who was living as a woman damages for his face injuries by assessing his lost earnings on the presumption that the plaintiff was a woman.


(Mainichi Japan) February 5, 2009