性同一性障害:国を提訴…経産省職員、処遇改善求め

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性同一性障害:国を提訴…経産省職員、処遇改善求め

毎日新聞 2015年11月13日 20時09分(最終更新 11月13日 23時03分)


 性同一性障害と診断され戸籍上は男性のまま女性として生活する経済産業省の40代の職員が13日、職場で差別を受けているとして、国に処遇改善と慰謝料など約1600万円の支払いを求める訴訟を東京地裁に起こした。代理人によると性同一性障害を理由に処遇改善を求める訴訟は初めて。職員は「異動のたびにカミングアウトを求めるなど人格権の侵害だ」と訴えている。


 職員は男性として入省後、性同一性障害と診断された。性同一性障害特例法は、性別変更には性別適合手術が必要と定めるが、職員は健康上の理由で手術を受けられていない。

 訴状によると、職員は2010年に女性としての勤務が認められたが、職場から2階以上離れた女性トイレを使うなどの条件が付いた。11年の人事担当との面談で「戸籍が男性のままでは女性トイレは自由に使用できない」として、性別を変えないなら異動ごとに同僚に説明するよう求められた。その後も「男に戻ってはどうか」などと言われてうつ病となり一時休職した。

 ◇性別変更に手術条件

 原告の職員は提訴後に東京・霞が関の司法記者クラブで会見し、「同じような困難に直面している性同一性障害の人はたくさんいる」と訴えた。

 日本では2004年に性同一性障害特例法が施行され、昨年までに5166人の変更が認められたが、▽20歳以上▽性別適合手術を受けている−−などの条件がある。手術は保険適用外で、金銭的、身体的負担が大きく、代理人の山下敏雅弁護士は「戸籍上の性別を変えられないため、トラブルが起きている」と指摘。精神科医の針間克己医師は「国際的には性別変更の条件から適合手術の必要を外す流れになっている」と話す。【島田信幸】