ゴフマンのアイデンティティ管理の戦略

「脱アイデンティティ」を読み出す。
私が、あほなため、意味不明な箇所も多いがなかなか面白い。


序章で引用された、ゴフマンの「スティグマ社会学」で論じられた「傷つけられたアイデンティティ stigmatized identity」(直訳すれば、レッテル貼りされたアイデンティティ?、すなわち社会的マイノリティ)の持ち主が行う、アイデンティティ管理の戦略が興味深い。


(1)印象操作
社会的アイデンティティの加工や擬装工作。
「なりすましpassing」という隠蔽が含まれる。
外見からはわからないユダヤ人、在日の人々、ゲイやレズビアンには適用されるが黒人や女性には採用が難しい戦略。


(2)補償努力
ひとつの社会的アイデンティティにおけるマイナスを他の社会的アイデンティティにおいて補償する戦略。
「黒人なのに教養がある」「男社会で名誉男性扱いされるエリート女性」、など。
帰属集団から自分だけ一抜けするための戦略。
準拠集団からも疎外され帰属集団からも排除されて、孤立を味わう結果になる。


(3)開き直り
「ブラック・イズ・ビューティフル」「無力な自己を受け入れるAA」など。
カテゴリーの定義を受け入れたうえでそのまま価値を反転する戦略である。
カテゴリーの政治に陥る限界も持っている。


(4)価値剥奪
より相対的に弱者である社会的カテゴリーの人々の価値を奪うことによって自らの社会的アイデンティティを高める「差別」化戦略。

脱アイデンティティ

脱アイデンティティ

スティグマの社会学―烙印を押されたアイデンティティ

スティグマの社会学―烙印を押されたアイデンティティ