性別違和の病理化は、トランスジェンダーへのスティグマになるのか?

第6回世界精神医学会アンチスティグマ分科会国際会議
http://www.congre.co.jp/anti-stigma2013/ja/index.html


発表の主な内容。

性別違和の病理化は、トランスジェンダーへのスティグマになるのか?
Does pathologization of gender dysphoria stigmatize transgender people?
針間克己

Transgender
トランスジェンダー
 典型的な性別に当てはまらない人々
 疾患概念ではない


欧米では、「性同一性障害」という疾患概念が、トランスジェンダーに差別、偏見をもたらすという考えがある。
性同一性障害を、同じセクシュアルマイノリティの同性愛と同様に、精神疾患リストからはずすべきだと。


DSM5では、Gender Dysphoria (性別違和)へ。


ICD11では、Gender Incongruence?
精神疾患でも身体疾患でもなく第3のカテゴリー?


今後も治療の必要上、疾患概念として維持か?


だが、日本では「トランスジェンダー」より「性同一性障害」が当事者に人気か。

ホームページの自己紹介で
「わたしは性同一性障害で」
自助グループの名称
GID何々」
「私はトランスジェンダーではありません」


なぜ日本ではそういう状況なのか?


性同一性障害」により医学的治療の整備

1997年:ガイドライン
1998年:埼玉医大性別適合手術


性同一性障害」により法的状況の改善

2003年:「性同一性障害者特例法」


医学的、法的状況の改善に伴い、社会的理解も進む


マスコミ報道における性同一性障害
「心と体の性の不一致」という理解
「gender identityの障害」という理解ではない。
ICD11、「gender incongruence」の先取りともいえる。


ただ一方では、治療をのぞまない人々への人権配慮がおざなりになっている危虞あり。


結語
単なる病理化は、差別偏見につながるおそれあり。
同時に正確な概念の情報提供が必要。
ただし、病理化されない人々が差別されるという逆説的状況も要注意。