マニアックすぎるのか報道もほぼされないので、気が付かなかったが、自民党のLGBT理解増進法案は、最終的には「性自認」ではなく、「性同一性」を採用していた。
森喜朗元首相のサマータイムよりLGBT理解増進法こそ東京五輪のレガシーに
理由としては
>医学上の観点から「性同一性」の用語を指摘すべきというご指摘があり
>法律用語になっていることを鑑み
とある。
医学上の観点からの指摘については、あげられている文献は、どこかで聞いたことのある著者ではあるが、2000年の文献。古いよね。
2019年の医学的観点をいえば、もはや「gender identity」は、DSM-5でもICD-11でも使われていなく死語。experienced/expressed genderに置き換わっている。
ガイドラインでも、結局、「ジェンダー・アイデンティティ」のカタカナで落ち着いた。
2019年の個人的見解では、ひろく「性自認」が普及した現在、あえて「性同一性こそがただしい」と自説を強く主張する気はない。むしろ、みなが使い慣れている「性自認」でよいと思っていた。19年たっていれば朝令暮改でもないだろう。
法律用語に関しては、特例法は「性同一性障害者」は定義しているが「性同一性」はどこにも定義されていない。法律用語とは言えない。
結局、なにゆえ「性同一性」に変更されたのかがちょっとわからないが、推測するに。
「性自認」は「性的指向・性自認」とワンセットで、人権用語としての側面が強すぎ、医学用語をあえて採用した。
2語とも、もとはおなじgender identityの訳語なのに「性自認」は時間的連続性を含まず、「性同一性」は時間的連続性を含む、という珍妙な使い分けが一部で行われている。それゆえ、時間的連続性を含む「性同一性」を採用した。
つまり「最初はアイデンティティは男性だったけど、だんだん女性になった」といったタイプはダメ。
ということかもしれない。