アテナ神

annojo2006-11-20

昨日の若桑先生の話で特に印象的だったのは、ギリシャ神話のアテナ神について。


アテナ神は、女神なんだけど、戦の神で、ヘルメットして、やりを持ってる。
いわば、元祖、FTMトランスジェンダーのようなお方である。


で、アテナ神は、母親からでなく、父親のゼウスの頭から生まれたらしい。
このあたりのことから、若桑先生は
「アテナ神は、母系社会から父系社会への移行を示している」
と指摘する。


すなわちギリシャ以前は、母系社会で、出産をつかさどる女性があがめたてられていた。
しかし、ギリシャ以降、父系社会へとかわり、権力をつかさどる男性の世となった。


だから、アテナ神は、女性をあがめるという従来の姿を残しつつも、出産する女性としてではなく、戦う女性(というか、男性化した女性)としてようやく、神となりえ、母からでなく、父から生まれる、すなわち父系として力を伝承されたわけだ。


で、この母系から父系への過渡期を過ぎれば、あとはもっぱらムキムキの男性が、権力者として描かれるようになる。


しかしこうしたことを考えると、古い時代、神事をつかさどるヒトが、トランスジェンダー的なことが時々あるが。
それは、男女両性具有的なところに、神秘的パワーがあると思われていたからだろうと、一般に理解されていると思うが。
それとは別に、女性から男性へと権力が移行する過渡期に現れた現象という側面もあるのかもしれない。