Transvestic Disorder 異性装障害

全然話題にもなっていないが。
Transvestic Disorder の訳語が「異性装障害」となった。
「Transvestic」はこれまで「服装倒錯的」と翻訳されてきたが、「異性装」と訳すべきだと20年近く主張してきた私としては喜ばしい限りである。
用語委員の松永千秋先生などのご尽力あってのことである。


だが、いざ決まってみると、ちょっと違うかも、という気もしてきた。
「異性装」という言葉は、ちょっと中立的すぎるというか、無味乾燥すぎるのである。
DSM-5におけるTransvestic Disorderとは、単に反対の性別の服装をする(cross-dressing)だけでなく、そのことに性的興奮をともなうものをいう。
であれば「異性装」とはcross-dressingの訳語とすべきで、Transvesticの訳語としては、ちょっと性的ニュアンスが少ない。
日本語で異性装といえば、趣味女装や、男の娘などを連想し、性欲目的なものはあまり意味しない。


Transvestic Disorderは、「本来セックスに性欲が向かうべきなのに反対の性別の服装することに性欲が向かって」というのが根本思想に横たわっていそうだし。
そうであるならば、フロイト的用語の「倒錯」がふさわしい。
それに「え、精神医学では異性のかっこうするのをいまだに、精神疾患扱いしているの」という驚きを込めて、あえて時代遅れの「服装倒錯」という訳語のほうが良かったかもしれない。


追記 
三橋順子様の詳しいコメント
http://junko-mitsuhashi.blog.so-net.ne.jp/2014-06-03
http://junko-mitsuhashi.blog.so-net.ne.jp/2014-06-03-1