境界を生きる 性と生のはざまで

「境界を生きる 性と生のはざまで」拝読。


毎日新聞連載時より読んではいたが、改めて読み直すと、その丹念な取材に感服。


性分化疾患については、日本のマスコミがほとんど報道していなかった中、はじめて、その現状を詳細に描き出している。
性同一性障害に関しても、特に子どもの治療に関する現在の問題の所在を見事に記している。


印象的だったのは。
FTMの子どもを持つ鹿児島のお父さんの言葉。なかなか制服変更の許可をしない中学校の校長先生に対して。
P134
>「西郷隆盛大久保利通も、前例がないところで日本を変えた。同じ薩摩なのに、前例がないと何もでけんとか!」


さすが鹿児島。


本の最後の言葉も印象的。
P233
>性別のあり方に苦しむたくさんの子どもや若者が、心の危機を抱えながらぎりぎりのところで生きている。そんな社会を作っているのは、私たち一人一人に他ならない。人々の意識が変わることで、救える命がある。
 無関心という「罪」をこれ以上深めてはいけない。

境界を生きる 性と生のはざまで

境界を生きる 性と生のはざまで