第14回GID学会 2日目


シンポジウム2:当事者グループの役割と機能


1. GID当事者が必要とする情報の展開と共有の仕組み

清水由佳 一般社団法人 gid.jp 日本性同一性障害と共に生きる人々の会 九州・中国支部


参加人数が増えないのが悩み、といったことを言っていたが、
人数にこだわらず、中身のある活動をすればそれでいいのではと思った。
福岡も最近は受診できる医療機関もボチボチ増えているので、うまくネットワークができればとも思った。


2. レインボープライド愛媛の活動内容

エディ レインボープライド愛媛


LGBT仲良く、こじんまりとしながらも、精力的な活動が印象的だった。
エディさんとはその後フロアで話しこめて、収穫だった。

そのあとに、エディさんが有名blog「ゲイリーマンのカミングアウト的思考 」のブロガーだったことに気が付いた。
http://blogs.yahoo.co.jp/deep8822


3. 岡山大学病院ジェンダークリニック受診者と家族の会 〜その活動の今日と明日〜

野原ナオコ 岡山大学病院ジェンダークリニック受診者と家族の会 代表幹事


フラットな組織で、代表も交代制にしようと思っているという組織運営が印象的だった。


シンポジウム3:子ども達への支援


1. 当事者の保護者から

?親子で歩んだ10年
平木マスミ 当事者の保護者(録音)
?親としての支援
執行照子 NPO法人LGBTの家族と友人をつなぐ会(神戸)


2. ジェンダークリニック(精神科医)の立場から

康 純 大阪医科大学 総合医学講座 神経精神医学教室


Zuckerは著書で、「身体の性に合わせる治療を」といっているが、われわれは「ジェンダーアイデンティティに合わせり」サポートをしていく。
フロアから針間:Zucker本は1995年のもので、鑑別診断に発達障害がまるで考慮されてない。
Zuckerの治療法は、その後批判され、SOC7では、子供のジェンダーアイデンティティを尊重したものととなってきている。
(Zucker本に関しては下記参照:http://d.hatena.ne.jp/annojo/20101023#p2


3. 思春期のGnRHアゴニスト療法

酒本あい 岡山大学病院 産科婦人科


早期開始し、そのごSRSまで言った長期経過症例報告。


4. 学校の現状

梅原信芳 岡山市教育委員会 事務局指導課


5. キャリア支援

土肥いつき トランスジェンダー生徒交流会,京都府立高校教員


「あいだがあっていいじゃないか。」


フロアから:山本蘭:子供について、文科省に要望を出した。執行さん(LGBTの家族と友人をつなぐ会)には悪いが、LGBTと一緒にしないでくれ、GIDは別物だ、障害、医療の問題だ、と要望した。私たちはあいだじゃない。男性か女性かだ。


フロアから針間:「クエスチョニング」すなわち、自分のセクシュアリティがわからない、という概念もあるように、思春期は特にセクシュアリティがあいまいだったり混乱する者も多い。そこで、性同一性障害だけを特別に取り上げるのは問題がある。gid.jpにも、実際にはGIDでない人も多く参加し、助かっているという事実もある。もう少し幅広く柔軟に考えるほうがよい。



解説 改訂ガイドライン第4版

日本精神神経科ガイドライン第4版での変更のポイント
齋藤利和 日本精神神経学会理事,札幌医科大学精神神経科


GnRHアゴニスト療法は、Tanner2で、要適用と判定されたもの。
反対の性へのホルモン療法は、2年以上精神科医が見て、15歳以上の者。



ワークショップ2:生活支援プログラム


1. 性同一性障害当事者との生活支援プログラム 岡山大学での取り組み

富岡美佳 山陽学園大学看護学部岡山大学大学院保健学研究科

2. 化粧の力

石田奈々 資生堂販売株式会社 中四国支社岡山オフィス

3. 岡山大学におけるファッション・フェミニンコースの実際

弓戸貴子 株式会社ワコール総合企画室 広報・宣伝部 宣伝企画課 啓発担当


大企業からの発表、新時代だな、と思った。
ワコールの「趣味で買いに来る人もいる中、GIDの人には偏見の目で見ないようにしたい」
といった感じの発表があり、「じゃあ、趣味の人には偏見を持っているのか?」と突っ込みを入れようと思ったが、ワコールには乳房研究会でお世話になっているし、遠慮した。



1. Free Fibular flap: an excellent alternative to the free radial forearm flap in Asian FTM transgenders

Kamol Pansritum, M.D.
Department of Plastic and Reconstructive Surgery, Kamol Cosmetic Hospital


ガモン先生、ちょっとだけ見た。若い先生だった。
ナグモの山口先生と英語で議論していた。


GID学会からの提言
中塚幹也 GID学会理事長,岡山大学保健学研究科


保険適用に向けて努力したい 。
座長大島:初代原科理事長は、公的なSRSを達成した。2代目大島は、特例法を達成した。3代目は保険適用達成が使命だ。


個人的には、保険適用も大切だが、中塚先生は、ホルモン療法や支援プログラムなどの、よりきめ細やかな、QOL向上支援が、歴史的役割の気がする。



一般演題8 口演

1. 新たな人権課題としての性同一性障害の啓発のあり方をジェンダーの視点で考察する

上田地優 男女共同参画ねっとわーく・むらさきのかぜ


2. GID島之絆の発足と鹿児島市保健所へのアプローチの実際

折尾信之介 GID島之絆


質問には、鹿児島の保健所の方が答えられて、当事者と保健所の協力関係がいい感じでした。
http://ameblo.jp/shimanokizuna/

3. 秋田県の自殺対策研修会と自殺未遂をしたFTMへの支援

真木柾鷹 性と人権ネットワークESTO



4. 身体療法の健康保険適用にむけて

山本 蘭 一般社団法人gid.jp日本性同一性障害と共に生きる人々の会

保険適用に向けて働きかけを行ってきたが難しい。
そこで医療機関がとりあえず、保険請求をして、だめなら不服の再請求などの方法はどうか。


座長針間:医療機関にとって、保険請求し却下されるのは経済的に死活問題。民間では無理だし、大学病院でも、事務方の反対を受けるだろう。


シンポジウム4:家族を考える

1. 生殖医療技術の応用

香川則子 加藤レディスクリニック

2. AID(第3者精子による人工授精)による子どもの問題:FTM当事者からの声

持田慎一(仮名)FTM当事者


嫡出子の裁判の人ではなく、特別養子縁組をしたという体験談だった。
声のみの登場。


3. 生殖医療技術,特別養子縁組で子どもを持つことへの肯定感:アンケート調査から

村上優子 岡山大学病院 産科婦人科


特別養子縁組や嫡出子として認めることに多数が賛成。


4. 親子関係について ― 法律の視点から

渡邉泰彦 京都産業大学 法務研究科


5. 多様化する家族のかたち

出口 顯 島根大学法文学部 社会文化学科


アジア・アフリカ家から子供を引き取り、養子縁組をする北欧の家族の写真。
素晴らしいと、頭ではわかりつつ。日本人的感覚としては、現実感が持てなかった。


というわけで無事終了。
まあ、それなりに盛り上がったといえる。
ガチンコというより、プロレスのようだったが・・。