反精神医学

精神科医の姜先生のblogを読んでたら、最近の「発達障害は親の育て方が悪い」という言説を「反精神医学」として、批判していた。
http://blog.livedoor.jp/kyoclinic/archives/4312821.html
批判内容はもっともだけど、「反精神医学」という言葉が気になった。


反精神医学は1960年代ころに流行った思想で、思い切り簡単に言えば、
精神疾患は生物学的疾患ではなく、管理的な社会が生み出したものなのだ。閉鎖病棟から『患者』を解放せよ」
みたいな思想だったと思う。
日本では、学生運動や左翼思想とリンクしていたと思う。


その後この思想はすたれていったが、石川憲彦先生などは、発達障害は社会が悪い、といった反精神医学思想で現在もなお頑張っておられる。
http://d.hatena.ne.jp/bem21st/20120614/p1


ところが、保守派の主張する「発達障害は親の育て方が悪い」という主張に「反精神医学」という言葉を使ったのであれれと思ったが。
bogの別のページに、石川先生の出演した番組批判が書かれていた。
http://blog.livedoor.jp/kyoclinic/archives/4046828.html


姜先生的には、発達障害の生物学的理解に反するものは、ともに「反精神医学」なのだな、と理解できた。


まあ、いずれにせよ、発達障害の精神医学的理解への批判は、「人間を画一的に抑圧する社会が悪い」という思想から、現在の日本では「ちゃんと育てない)親が悪い」という保守的思想へと転換している点が興味深い。


個々のジェンダーの尊重を訴えたはずのDiamondのブレンダのケースが、「男は男らしく女は女らしく育てろ」と逆の主張に利用されたのとほぼ同様の感じだ。