性同一性障害の和太鼓グループ団長が「家族に言いたいこと」

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性同一性障害の和太鼓グループ団長が「家族に言いたいこと」

女性自身 7月8日(日)6時31分配信

和太鼓グループ「クラッシュ・ビート」が結成されたのは今から5年前、現在のメンバーは、24歳から32歳までの5人。仕事も住まいもバラバラだ。ただひとつ、彼らに共通しているのは、全員が『生まれた性と生きたい性とが一致しない性同一性障害である』ということ。彼らは生物学的には女性だが、自己意識は男性。FtM(Female to Male)という。

通称・市也こと平岩一樹さん(26)は、クラッシュ・ビートの2代目団長だ。警備員のアルバイトをしながら、週末の活動にも汗を流している。彼が、自分の違和感の原因に気がついたのは、中学3年、15歳のときだった。

「テレビで『3年B組金八先生』を見て、上戸彩が演じる役柄の境遇があまりに自分と似ていたので、ひょっとしてこれなのかも、と。ネットで調べるまで、性同一性障害という言葉も知りませんでした」

11歳のとき両親が離婚。平岩さんは母と暮らしていたが、その母は、彼が13歳のある日「そのうち戻ってくる」と言い残して仕事に出かけ、帰って来なくなった。それ以来、母とは会っていない。どこにいるのか、生きているのかさえも不明だ。それを機に、平岩さんは父親と弟と暮らすようになった。

22歳で上京し、しばらくして治療を決意。男性ホルモン注射を打ち始め、24歳のときに乳房の切除手術を受けた。男性ホルモンを打つと、月経が停止する。さらに声が低くなり体毛や筋肉量の増加が起こり、見た目も男性化する。しかし平岩さんは、そのことを家族の誰にも打ち明けていない。

「実は、上京してから父親とも一度も会ってないんです。ホルモン注射を打ってからは、メールだけはしていますが、電話もしていません」

平岩さんには、もうひとつ秘密にしていることがある。親の戸籍を離れ、分籍していることだ。理由は名前を変えるため。ただし、戸籍を離れただけで、親子関係が切れたとは思ってはいない。父親には、この記事が出る前に、直接会って話したいという気持ちもあった。

「ただ、いろんな事情があって。この後、会って話すことがあれば、ありのままを話そうと思います。それから、両親の離婚とか、家族に何かがあったから自分がこうなったのではない、ということは必ず付け足して言いたいです」

また平岩さんは、「そのうち戻ってくる」と言って出て行った母親を待てなかったことを今でも負い目に感じていて、そのことを謝りたいと考えているそうだ。
最後に、屈託のない顔で笑いながら、こう語ってくれた。

「自分らしく、前向きに生きたい。もう後戻りするつもりはりません。もっと頑張って勉強もして、今よりもさらにいい道を見つけてければいいなと思っているんです」
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