治療指針の変更検討 性同一性障害男児薬剤投与で 

神戸
http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0003749876.shtml
治療指針の変更検討 性同一性障害男児薬剤投与で 
 性同一性障害GID)のため女児として小学校に通う兵庫県播磨地方の男児(12)が、思春期の体の変化を止める抗ホルモン剤治療を始めることに絡み、日本精神神経学会GIDに関する委員会が、治療のガイドラインの変更を検討していることが19日、分かった。神戸新聞社の取材に、齋藤利和委員長=札幌医科大教授=が明らかにした。ホルモン療法の開始年齢引き下げも議論するという。


 ガイドラインGID治療に関する医師側の指針で、同委が1997年に出し、現在第3版。心の性に合わせて体を変えていく「ホルモン療法」を18歳以上、性器を外科的に変える「性別適合手術」を20歳以上と定めているが、抗ホルモン剤については触れていない。

 齋藤委員長は「抗ホルモン剤治療は、ホルモン療法の開始年齢引き下げと合わせ、ガイドライン改訂の大きな柱として慎重に検討している」と説明。5月に東京で開かれる同学会の公開シンポジウムで、委員以外からも意見を聞くという。

 男児の主治医である康純・大阪医科大准教授は同剤の投与を「思春期の治療法の一つとして、何らかの記載をすべき」と主張。一方で慎重論もあり、塚田攻・埼玉医科大精神神経科講師は「10代の受診は少なく、症例を重ね、議論を深めてから一定の基準を作るべき」とする。

 齋藤委員長は「抗ホルモン剤治療は、後戻りできる点などが長所。現場からの要望もあるが、治療対象などは慎重に見極めていかなければならない」と話している。

(霍見真一郎、鎌田倫子)



朝日
http://www.asahi.com/health/news/OSK201101200062.html
性同一性障害、小6男児に抗ホルモン治療へ 大阪医科大 2011年1月20日

 心と体の性が異なる性同一性障害GID)と診断され、女児として兵庫県内の小学校に通う6年の男児(12)に対して、大阪医科大(大阪府高槻市)は思春期の体の変化を一時的に止める「抗ホルモン療法」を行うことを決めた。2月に始める予定。同大によると、小児のGID治療で抗ホルモン剤を投与するのは全国初という。

 同大ジェンダークリニックの康純(こうじゅん)准教授によると、男児は小学校入学前から康さんの診察を受けている。中学入学を前に男性ホルモンが増加し、声変わりの開始など第二次性徴を確認したことから、「本人の思いと逆に体が変化することで精神的苦痛が起きる」と判断、抗ホルモン療法を検討した。学内の症例検討会を経て大学倫理委員会に答申し、今月初めに承認された。

 抗ホルモン療法は、男性ホルモンと女性ホルモンを出にくくする薬「LHRHアゴニスト」を月1回投与する。第二次性徴が早く始まる「思春期早発症」でも5〜6歳の小児に使われており、ほとんど副作用はないという。(香取啓介)
.


http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20110120-OYT1T00341.htm
性同一性障害の小6男児、ホルモン抑制治療へ

. 心と体の性が一致しない性同一性障害GID)と診断され、女児として小学校に通う兵庫県内の6年男児(12)に対し、大阪医科大病院(大阪府高槻市)は、男性ホルモンの分泌を抑える薬を定期的に注射し、思春期に伴う第2次性徴を一時的に遅らせる治療を2月から行うことを決めた。


 GID学会によると、こうした治療を小児に行うのは国内初という。

 診察を続けてきた康(こう)純(じゅん)・精神神経科医長によると、男児は昨年夏頃、血液検査で男性ホルモンの濃度が倍増。今春に女子として地元の中学校に進む予定になっており、心の性とは反対に体が急変する苦痛を和らげる治療が必要と判断した。

 欧米では、GIDに対して、低年齢で第2次性徴が始まる思春期早発症の治療に使う抗ホルモン剤「LH―RHアゴニスト」を2年間注射する治療が行われている。康医長は、同様の治療を計画。今月、学内倫理委員会の承認を得た。

(2011年1月20日11時30分 読売新聞)


時事

http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2011012000317
小6男児に抗ホルモン剤性同一性障害、小児で初−大阪医科大
 心と体の性が一致しない性同一性障害GID)と診断された兵庫県内の小学校6年の男児(12)に対し、大阪医科大ジェンダークリニック(大阪府高槻市)が、思春期の第2次性徴を一時止めるため抗ホルモン剤を用いた治療を始めることが20日、分かった。GIDの治療で小児に抗ホルモン剤を投与するのは国内初とみられる。
 男児の主治医で同クリニックの康純准教授によると、男児は来月から月に1回、抗ホルモン剤「LHRHアゴニスト」を注射する治療を受ける。ホルモンの分泌を抑制する薬剤で、第2次性徴が早い思春期早発症の小児に投与されることもあり、重い副作用の例は少ないという。
 GID学会理事長の中塚幹也岡山大教授によると、GID治療では数年前に岡山大が当時16歳の女子高生に投与した例があるが、中学生以下では国内初とみられる。
 男児は昨年8月以降、男性ホルモンが増加し、第2次性徴が始まった。大阪医科大は10月から抗ホルモン剤の投与について学内で審議を重ね、最終的に倫理委員会で承認され決定した。(2011/01/20-11:36)


http://mdn.mainichi.jp/mdnnews/news/20110119p2g00m0dm084000c.html
Primary school pupil with gender disorder to get hormone treatment
KOBE (Kyodo) -- A 12-year-old pupil, who was born a boy but lives as a girl due to gender identity disorder, will undergo hormonal treatment at Osaka Medical College Hospital in order to inhibit physical changes during adolescence, hospital sources said Wednesday.

It is believed to be the first such medical procedure in Japan involving a child aged 15 or younger, according to Toshiyuki Oshima, law professor at Kyushu International University and advisor for the Japanese Society of Gender Identity Disorder.

While there have been no reports of serious side effects of such treatment so far, caution remains in medical circles about such procedure for patients aged 18 or younger.

The treatment will begin as early as February to inject the patient living in Hyogo Prefecture with an antihormonal drug once a month to control the secretion of sex hormones so the patient will not be distressed by taking on the physical traits of an adult male, according to the sources.

The procedure, which is not covered by health insurance, costs 35,000 yen each time.

As the level of male hormones in the patient's blood began to rise last summer to bring about the secondary sexual characteristics, the ethics committee at the Osaka hospital approved the hormonal treatment.

The patient has been treated as a girl since joining an elementary school, and will attend a junior high school this spring, at which the patient will wear a school uniform for female students and share bathrooms with them, according to a local education board.

An earlier example of hormonal treatment for an underage GID patient in Japan involved Okayama University administering antihormonal drugs for a then 16-year-old patient, who was born as a girl but lives as a boy, according to Oshima.

(Mainichi Japan) January 19, 2011