同性間暴力にDV法適用 事実上の婚姻認め保護命令

2010/8.31.日本経済新聞
http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C93819695E0E4E2E1EB8DE1E3E2EAE0E2E3E29180E2E2E2E2;at=ALL
>同性のパートナーから暴力を受けたとする女性からの申し立てを受け、裁判所がDV(配偶者・パートナーによる暴力)防止法に基づく保護命令を片方の女性に出していたことが31日、関係者の話で分かった。同性カップルを事実上の婚姻関係にあると判断したとみられ、こうしたケースが明らかになるのは初めて。


 関係者によると、保護命令は2007年、西日本の地裁が出した。被害者保護のため詳細は明らかにされていないが、申し立てたのは社会的に夫婦と同じような関係にあった女性カップルの1人。地裁は相手の暴力で重大な危害を受ける恐れが大きいと判断し、申立人への接近を禁じるなどの保護命令を相手の女性に出した。

 01年施行のDV禁止法は配偶者の暴力から被害者を保護することを目的とし、配偶者には「婚姻の届け出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者」を含むと規定。今回、地裁は女性カップルがこれに該当すると判断したとみられる。

 同性カップルへの同法適用について、ある裁判官は「明確な解釈があるわけではなく、各裁判官の判断」と指摘。「相手が同性であっても適用が否定されるべきものではないと考えられ、同居の状況など、実態に即して判断したということではないか」と説明する。
DV被害者を支援する特定非営利活動法人NPO法人)「全国女性シェルターネット」(東京)の遠藤智子事務局長は「画期的な判断で、今後の支援活動を行う上でも有益」と話す。保護命令の件数は増加しており、09年は約2400件。ただ同性間のDVについての統計はない。この背景について、同性カップルの問題に詳しい平田俊明医師(精神科)は「同性カップルは社会的に孤立していることも多く、DV被害があっても顕在化しにくい傾向がある」としている。