性的少数者(LGBT)の超党派議連発足へ 同性パートナー条例案には「同床異夢」

http://www.sankei.com/politics/news/150311/plt1503110044-n1.html
産経
性的少数者(LGBT)の超党派議連発足へ 同性パートナー条例案には「同床異夢」
 自民、公明、民主などの超党派の有志によるレズビアン、ゲイなどのLGBT(性的少数者)問題を考える国会議員連盟が発足することが11日、分かった。17日に初会合を開き、渋谷区が区議会に提出した、同性カップルに「結婚に相当する関係」を認めるパートナーシップ証明書を発行する条例案についても議論するとみられる。ただ、同条例案をめぐり、憲法違反だとする自民党と、憲法に抵触しないとする民主党とで対立があり、議連は同床異夢でのスタートとなりそうだ。

 議連は、「多様性のある社会の実現」が狙いとし、性的少数者らからヒアリングを行い、まずは性的少数者が抱える問題点の把握に努める。呼び掛け人は、自民党馳浩・元文部科学副大臣公明党の谷合正明参院議員、民主党細野豪志政調会長ら。

 渋谷区の条例案は、パートナーシップを「男女の婚姻関係と異ならない程度」の実質を備える「戸籍上の性別が同一である二者間の社会生活関係」と定義し、同性カップルがアパートの入居や病院での面会を、家族ではないことを理由に断られるケースがあるのを踏まえ「区民および事業者はパートナーシップ証明を最大限配慮しなければならない」とした。対象は区内に住む20歳以上のカップルを想定している。


 憲法24条は「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し」と規定。区は「同性婚とは別ものだ」(担当課)としている。

 しかし、自民党谷垣禎一幹事長は10日の記者会見で「家族関係は社会の制度や秩序の根幹に触れる。法律ができていないときに条例だけで対応すれば、いろいろな問題を生むのではないか」と述べた。赤池誠章文部科学政務官も自らのブログで「地方分権が進みすぎてしまい、国が分裂混乱してしまうことを懸念している」と問題点を挙げる。

 馳氏は11日、産経新聞の取材に対し「憲法がいう『両性』とは異性のことだ。条例案憲法に明確に反する」と述べた。議連の進め方については「性的少数者の存在を認めた上で、偏見をなくすことからだ」と述べた。
これに対し、細野氏は10日の記者会見で、条例案提出を「大きな前進だ。憲法に抵触するとは考えていない」と述べた。その上で「『両性の合意』とは、親に強制的に結婚させられるということではなく、個人の意思を尊重するという趣旨だ」と語った。2月17日の会見では法令化に前向きな姿勢を示した。

 この問題は2月18日の参院本会議で、安倍晋三首相が「現行憲法の下では同性カップルに婚姻の成立を認めることは想定されていない。同性婚を認めるために憲法改正すべきか否かは、わが国の家庭のあり方の根幹に関わる問題であり、極めて慎重な検討を要する」と答弁している。

 条例案を審議する区議会(定数34、欠員2)は、反対する見通しの自民党議員は8人という。条例案は31日に本会議で採決され、可決されれば4月1日に施行される。(坂井広志)

 【LGBT】レズビアン(女性の同性愛者)、ゲイ(男性の同性愛者)、バイセクシュアル(両性愛者)、トランスジェンダー(生まれついた性別に違和感を持つ人)のそれぞれの頭文字を取った総称。トランスジェンダーは、生まれついた性別とは反対の性別になりたいと強く願う人や、自らを特定の性別に当てはめない人など、多様な分類を含む。電通総研の試算によると、国内のLGBTは人口の約5%。