性的少数者の差別解消 超党派議連、そろり始動

http://www.asahi.com/articles/ASH3K4JJ2H3KUTFK005.html
朝日
性的少数者の差別解消 超党派議連、そろり始動
二階堂友紀
2015年3月17日20時52分

 同性愛や性同一性障害など性的少数者への差別解消を目指す超党派の国会議員連盟が17日、国会内で設立総会を開き、自民、民主、維新、公明、共産などの約30人が参加した。内閣や自民党内に伝統的な家族観を重んじる考えが根強いため、議連では「差別解消法」などの制定を目的とせず、時間をかけて理解を広めていく。

性的少数者、知らぬ存ぜぬではいられぬ」馳議員に聞く
 会長に就いた自民党馳浩・元文部科学副大臣は記者団に「社会生活上の不利益があるか、当事者に聞き取りを重ねることが活動の入り口だ」と語った。12日の議連の役員会では、活動目的として法制化を掲げないことを確認した。

 背景には、同性婚や同性パートナーシップに慎重な意見が強い自民党への配慮がある。谷垣禎一幹事長は記者会見で、東京都渋谷区が検討する同性パートナーに証明書を出す条例について問われ、「伝統的な価値観の中で育ったので、自分の価値観に従って答えていいのか非常に迷う」、稲田朋美政調会長は「憲法や家族のあり方に関わる問題は条例でなく大きな議論をすべきだ」と語った。

 このため、議連幹部は「法律の議論を急ぐと反発を招く」と判断。性的少数者への差別を人権問題と捉えるところから活動を始め、徐々に国会議員の間に浸透させたいとしている。(二階堂友紀)





http://www.asahi.com/articles/ASH3F427FH3FUTFK00C.html
朝日

性的少数者、知らぬ存ぜぬではいられぬ」馳議員に聞く
聞き手・二階堂友紀
2015年3月17日20時50分


 ――性的少数者を巡る課題に取り組み始めたきっかけは何ですか。

性的少数者の差別解消 超党派議連、そろり始動
 「15年ほど前、南野知恵子・元法務相に誘われ、性同一性障害特例法を立法するチームに入ったのがきっかけだ。その後、当事者の方々から声が寄せられるようになり、その中には、同性愛者や両性愛者、性同一性障害にとどまらないトランスジェンダーの人たちもいた。性同一性障害以外の性的少数者には、どんな対応が可能だろうと考え続けてきた」

 「2013年に施行されたいじめ防止対策推進法の立法にも、党のプロジェクトチーム座長として携わったが、性的少数者を巡る課題は小中高校でも、いじめや不登校や自殺の一要因だと指摘されている。正しい知識を持ち、子どもたちが安心して相談出来る大人を増やさなければならないと感じていた」

 ――このタイミングで議員連盟の立ち上げを決めたのは、なぜですか。

 「13年に自民党で『性的マイノリティーに関する課題を考える会』を立ち上げ、当事者の方々との意見交換を進めてきた。そんな中、東京都渋谷区が同性のパートナーに証明書を出す条例案の検討を始めた。これをきっかけに、国会でも人権問題として扱っていく必要があると感じ、議連という『議論の土俵』をつくることにした。立法府として、いつまでも知らぬ存ぜぬではいられない」

 ――議連として何を目指すのですか。

 「性同一性障害についても、当初は自民党内に根強い誤解がありましたが、最後は野中広務氏や古賀誠氏らベテラン議員の理解も得て、特例法を成立させることができた。まずは現実を直視し、事例を積み重ねることが必要だ」

 「そのためにも、当事者の声に耳を傾け、存在を理解するところから始めるべきだ。そのうえで、社会生活上の障害や困難を解消していく。その過程で、多様性を認め合う日本社会として、性的少数者も社会の一員であるという意思を国民全体で共有していかなければならない」

 ――議連の趣意書では、2020年の東京五輪パラリンピックにも言及されています。

 「昨年のソチ五輪では、開催国のロシアが同性愛者を差別する法律を施行したことへの反発から、一部の首脳が開会式を事実上ボイコットした。東京五輪を目指す日本社会が性的少数者にどう対応をしているかが必ず問われる。国際オリンピック委員会も日本の対応を見ている。社会全体で議論を深めておく必要がある」

 ――東京五輪の大会基本計画にも、多様性を認め合う対象として「性的指向」が明記されました。

 「その理念を、日本社会の中でどう具現化していくかが、今後の議論の一つのポイントになる」

 ――議連が役割を終えるには、どれくらいの時間が必要でしょうか。

 「あえて答えるなら、性的少数者の方々が社会的に認められる土壌が整うには、10年くらいかかるのではないか。この問題は、政治が『えいや』と決めるべきものではない。誤解を恐れずに言えば、政治家は国民から叱られるのが仕事だ。『なんで、もっと性的少数者の人権を認めないんだ』という社会的な論調を待っているところがある」

 ――社会的な理解が高まっていくことが必要だということですか。

 「そうだ。私たち政治家は、そういう時代の到来を見越して、議論を深めておかなければならない。腰を据えて、息の長い取り組みをしていくつもりだ」(聞き手・二階堂友紀)


http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2015031700772
時事
性的少数者問題で超党派議連
 性的少数者に関する課題を話し合う超党派議員連盟が17日、衆院議員会館で設立総会を開いた。議連には各党の約40人が参加。会長に就任した自民党馳浩衆院議員は「地方自治体における取り組みに動きがある中で、立法府としても議論の土俵をしっかりとつくっていくべきだ」と指摘し、当事者からのヒアリングを行うほか、海外の関連法制も参考に対応策を検討する考えを示した。
 議論の対象は、レズビアン(女性同性愛者)、ゲイ(男性同性愛者)、バイセクシュアル(両性愛者)、トランスジェンダー性同一性障害を含む心身の性別不一致)の頭文字を取って「LGBT」と呼ばれる性的少数者。議連は、同性カップルに「結婚に相当する関係」を認めるとする東京都渋谷区の条例案についても議論する予定だ。(2015/03/17-17:31)2015