受精卵取り違えと親子関係

受精卵取り間違えのニュースがあったが。
ヒヤリハット法則的に推測すれば、すでにある程度の数の受精卵取り間違えがこれまでにあり、そのまま気付かずに出産したケースもあると考えるのが妥当か。


で、出産後に気がつき、「自分たちの子じゃない」と思ったとして。
母親は、自分の子宮から産んだ以上、法的には実母かな。
父親は、嫡出否認や親子関係不存在確認とかすれば、父親ではないということになるかも。


ついでに、代理精子で生まれた子供の場合。
父親が、実の子でないと、と訴えたら認められるのか。
判例的には、夫の承認を得てない場合は、嫡出否認が認められるようだが、最初は承認していて、生まれたあとに、気が変わって、自分の子供だと認めなくなったらどうなるのだろう。
判例的には調べた限り不明。


以下張りつけ。
東京高等裁判所の判決には、夫の同意を得たAIDによる子について、嫡出推定の及ぶ嫡出子であり、夫と子との間に親子関係が存在しない旨の主張をすることは許されないと判示したものがある(東京高裁平成10年9月16日決定家裁月報51巻3号165頁)。ただし夫の承認を得ていないAIDによる子について、夫の嫡出否認の訴えを認めた大阪地方裁判所の判決がある(平成10年12月18日判決家裁月報51巻9号71頁)。
http://www.law.tohoku.ac.jp/~parenoir/perinatal.html
>ひとつは、夫婦が離婚に際してAIDで生まれた子どもの親権を争った裁判です。夫は無精子症と診断されたため、妻がAIDによって子どもを産むことに承諾しました。生まれた子どもは父母の別居までは一緒に暮らし、別居後は平日は父親宅、週末は母親宅で過ごしていました。一審では、子どもが平日は父親宅で過ごしていることなどを理由として、父親に親権を認めました。それに対して母親が抗告し、その判決では、母親に親権を認めました。(本山,1999) その要旨は以下のようになります。1)AIDは夫婦の合意の上で行われ、子どもは夫の嫡出子と推定されていることから、夫は離婚後にも子どもの親権者となることができる。しかし、2)今回は子どもが幼く、母親側に子どもの養育態勢が整っていることから母親に親権を認めるのが妥当である。ただし、3)AIDで生まれた子の親権を離婚時に父親にわたすことについては「自然的血縁関係」のない「子の福祉に何らかの影響を与えることがありうると考えられる」ことを考慮する必要がある。
 もうひとつの裁判は、夫の同意を得ずに妻がAIDによって出産した子どもに対して、夫が嫡出否認を訴え、それが認められたものです。不妊治療としてAIH(配偶者間人工授精)を何度か試みても子どもができなかったため、妻が夫以外の男性の精子の提供を受けて医療機関に持っていき、人工授精を受けて妊娠・出産した。夫は最初は生まれた子どもを自分の子どもと思い出生届けを出したが、後に疑問を抱いて嫡出否認を訴えたというものです。判決では、夫の同意のないAIDによって出産した子どもは夫の嫡出子にはならないとされました。
http://aid.hc.keio.ac.jp/problem.html