トムをジェーンに。1.

annojo2006-06-19


おとといのブログの「誰が子どもの性別を決めるのか?」。
http://d.hatena.ne.jp/annojo/20060617/p3

その記事の元記事を発見。
http://villagevoice.com/news/0622,reischel,73391,6.html
あまりに長いのでどうしようかと思ったが、興味深い内容なので、しばらく毎日、訳すことにした。
面倒なので、かなりいい加減な訳だけど。

以下訳byAJ


トムをジェーンに。


春休みの朝、11時。アンダーソン家は騒々しい。学校は今週は休み。双子の男の子は、広い二階建ての家の中でボールを投げている。2階では、まだ10歳にならない娘が、母の呼ぶ声を無視している。ローレン・アンダーソンは日によく焼けた専業主婦のお母さんだが、じっとしてられなくて、子供たちに、ベビーシッターが来るのを待つようにと叱った。


一番下の子は5歳のニコルだが、いやそうな顔をしている。ニコルは茶色のリボンをして、爪は虹色にペインティングしている。彼女は友人とプールに行こうと思っているが、着るものが気に入らない。「私は着替えたい」


数分後、彼女は下着以外ほぼ裸になって、駆け回っていた。ドレスを脱ぐと、はっきりと彼女のペニスがわかる。ペニスはピンクのパンティーの中に注意深く押し込まれて入るが。


ニコラスと命名され、生物学的男性として生まれたが、ニコルは今日、女児のように、服を着て、振る舞い、生活している。ニコルは話せるようになったときから、自分は女児だと主張した、とアンダーソン夫妻は言う。夫妻の要望で、アンダーソンという名は、仮名ではあるが。 「彼はずっと、花や、きれいな色や、バービー人形や、人魚が好きだった」と母親のローレンは言う。子供を呼ぶのに「彼」を使っている。実際のところ、ローレンと話すと、彼女はニコルが女児として暮らすのを十分にサポートしている。しかしこの子供をどのように呼ぶかはまだ、うまくいっていないのは明確だ。


「よちよち歩きのときから、ズボンをはきたがらなかった。姉のようにドレスが着たかったから。」と、子供のことを彼と呼んだり彼女と呼んだりしながら、ローレンは言う。


ローレンは、こんな人生を歩んでいる家族はほとんどいないであろうことを認める。男の子が人形遊びやつめを塗ることがすきなのは、珍しいことではないが、完全に女性として自己を同一化することは、きわめてまれだ。そしてその対応については何十年もの間、激しい議論の対象とされてきた。


9年前、ベルギー映画「僕のばら色の人生」は、男児が女児として生きることを決めたときの、最も典型的な反応をあつかった。いいかえると、両親はパニックになったのだ。近所の人たちも、少年の家族を馬鹿にして、家族は引越しせざるを得なくなった。一方で、現実の話は、2000年にあるのだが、より悲惨な結果である。Zachary Lipscombの両親が、6歳のとき、子供をAuroraの名前で女児として、オハイオの小学校に入学させようとしたとき、州の児童相談所が、子供を両親から引き離したのだ。


治療者の中には、そのような子どもたちは、反対の性別で生活するのはやめさえるべきだと主張するものもいる。なぜならそのような子どもたちの大多数は、成長するとそういうことをしなくなることがわかっているからだ。研究によれば、多くは結局ゲイ男性になる。しかし、多くの治療者、学者、活動家たちは、その意見には反対で、たとえ3歳であれ、こどもの性別への一体感は損なうべきではないと主張する。


アンダーソン夫妻は、あとの方の意見に賛成だ。ニコラスがニコルになることを勧めている。専門家たちによれば、アンダーソン家は、アメリカで唯一、5歳児が反対の性別で生活することを支援している家族だ。この秋、アンダーソン家は、フロリダのブロワード郡の幼稚園に女児として入園させようと計画している。両親は、それこそが、彼女が幸せになれる唯一の方法だと信じている。


この決断は、一家への大きな支持を集めることになった。たとえば支援者の一人はthe National Center for Lesbian Rightsの弁護士のKaren Doeringだ。KarenFTMトランスセクシュアルのMichael Kantarasの弁護士として、フロリダ最高裁判所における子どもの養育権裁判で、2004年に勝利し、広く報道された。この裁判では、Kantaras の子どもふたりへの養育権は、性転換によっては無効にならないと判決が出て、トランスセクシュアルの親としては、初めての画期的な勝訴であった。弁護士のDoering はアンダーソン夫妻に、幼稚園側から事情聴取を待つようにと助言した。幼稚園側からは、いまのところニコルの入園の性別に関して、何の情報も出していない。


ニコルの話が、普通の話から大きくそれるのは、ここからである。というのも幼稚園側に圧力をかけている人物は、大きな助けになるかもしれないし、逆に迷惑な存在になるかもしれない。


Mark Angelo Cummingsは、かつては女性だった男性で、いまではスペイン語テレビのトーク番組の人気者だ。Cummingsの目立つ外見は、性転換のネタ話もあって、テレビ番組の司会者に馬鹿受けで、ラテン系コミュニティの中で、トランセクシュアルを開けっぴろげなものにしはじめている。Cummingsは自分の人気を使って、ニコルの夢を実現させようと考えている。


いずれにせよ、この秋、この校区の決断はある種の歴史的なものになる。この派手なトランスセクシュアル守護天使と自分は女児だと主張する小さな男の子によって。


(続く)