「女装の剣士 シュヴァリエ・デオンの生涯」を読む。

- 作者: 窪田般弥
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 1995/06
- メディア: 単行本
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それ以上のことは良く知らなかった。
この本を読んで、シュヴァリエ・デオンが数奇な運命をたどった人物というのが良くわかった。
時は、18世紀、フランスはルイ15世の時代。フランス革命前夜。
1728年、シュヴァリエ・デオン誕生。
1755年、ルイ15世の命を受け、秘密機関「機密局」のメンバーに。ロシアと接近すべく、小柄で美少年だった、彼は女装し、「マドモアゼル・リア・ド・ボーモン」として、ロシアで1年ほど、外交・諜報活動。
http://web.uvic.ca/~ahdevor/HowMany/HowMany.html
その後は、龍騎兵連隊長、ロンドンの全権公使として、男性の軍人、外交官としてバリバリ働く。
http://web.uvic.ca/~ahdevor/HowMany/HowMany.html
しかし、その後、政争に巻き込まれ。
1764年「半陰陽ではないか」と、デマを流される。それをゴシップ誌が書き立て、話題に。
P71
>「シュヴァリエ・デオン・ド・ボーモンは精神異常に悩んでいる。その狂気の原因は、男でも女でもないこと。要するに彼は半陰陽。」
http://perso.wanadoo.fr/julieniniane/janvier.htm
(半分男性、半分女性に描かれている)
1770年になると、さらに「女だ」という噂に変わる。
1774年、頼みの綱の、ルイ15世死亡。「女性だ」と認める代わりに、監獄行きを免れる。
しかし、いやいやの女装。
P137
>軍服とサーベルを棄て去ってからの私は、尻尾を失ってしまった狐さながらの愚か者です。先のとがった靴やハイヒールで歩こうと努力していますが、一度ならず、もう少しで首の骨を折るところでした。
P142
>スカートをつけていることなどは恥ずかしく、断腸の思いです・・・
http://web.uvic.ca/~ahdevor/HowMany/HowMany.html
1793年ルイ16世も処刑され、フランス革命。
あとは自分で、得意のフェンシングを女装姿でして見せ、日銭を稼ぐしかなかった。
http://people.freenet.de/Jula.Me/deon.htm
1810年死亡。診断ははっきり男性だった。
P171>完全に発達した男性生殖器官を見出したことを、私は本書状によって断言する。
というわけで、シュヴァリエ・デオンを、女装者やトランスジェンダーの草分けみたいに言うのはちょっと違うのかな、とこの本を読んで思った。