「修と思結―心の性別 迷うけれど、選べます―」

「修と思結―心の性別 迷うけれど、選べます―」を読む。

修と思結―心の性別迷うけれど、選べます

修と思結―心の性別迷うけれど、選べます

男性の「修(しゅう)」がある朝起きたら、体は女性の「思結(しゆ)」になっていた。
自分の勤めていた会社に、自分自身の妹「思結」と称して再就職し・・・・


という話。
「朝起きたら、心はそのままで、体の性別だけ変わっていたとしたら」
というたとえは、非当事者に性同一性障害を実感させる説明としてよく用いられる話だが。


だが、この小説、必ずしもFTM的苦しみを描いたものではない。
むしろ、なれない女性役割・女性行動を徐々にマスターして行き、女性identityを獲得していくという感じ。
つまり、MTFの性別移行中の戸惑いに近い描写が続く。


結構その描写が詳細で、それなりに面白い。
まあ、落ちがあるようなないような不思議な小説だけど。


それにしても謎なのは、作者。
性別戸惑いの詳細さは、性同一性障害当事者のようにも思える。
かといって、「性同一性障害」なんて言葉はまるで出てこないし、性別の問題も淡々と語っている。


プロの作家としては、文章といい、ストーリーといい、いまひとつだし。


著者プロフィールをみると
>ひたちみさを(共著者名)
滝澤かおる 1973年東京生まれ。ハンガリーデブレツェン大学歴史学修士課程終了。現在秋田市在住。
ふじごろう 長野県出身。


2人で書いたのは分かったが、検索してもひっかからないし。
謎である。