質問なるほドリ:性同一性障害って、どういうことなの?=回答・丹野恒一

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質問なるほドリ:性同一性障害って、どういうことなの?=回答・丹野恒一
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 ◆性同一性障害って、どういうことなの?

 ◇心と体の性が異なる疾患 戸籍変更や適合手術にも課題
 なるほドリ 性同一性障害に関する記事を最近よく見るね。

 記者 体の性別と心の性別が一致せずに悩むことは世界保健機関(WHO)の診断基準などで疾患とされています。原因としてはさまざまな学説がありますが、まだはっきりとは解明されていません。日本では96年、埼玉医科大の倫理委員会が体の性を心に合わせる性別適合手術を正当な医療行為と認めて以降、当事者が暮らしやすい社会づくりの動きが活発化しています。

 Q 日本に当事者はどれくらいいるの?

 A 正確には不明ですが、少なくとも1万人以上と推計されています。専門家の調査では、半数以上が小学校入学前から悩んでいます。埼玉県では小学2年の男児が女の子として通学できるようになりましたが、こうした対応はまだごく一部で、川端達夫文部科学相は「政治の立場で検討する時期に来ている」と述べています。

 Q 戸籍上の性別も変えられるの?

 A 04年に性同一性障害特例法が施行され、条件を満たせば認められるようになり、08年までに1263人が変更しています。変更できれば自分の望む性で結婚できますし、例えば女性から男性に性別変更した人が女性と結婚した場合、第三者精子による人工授精で子をもうけることも可能です。でも法務省は、こうした子は非嫡出子として扱うとの見解で、千葉景子法相は「早急に改善に取り組みたい」と発言しています。

 Q 当事者が暮らしやすい社会に変わる予感がするね。

 A まだまだ課題はあります。現行法は未成年の子がいる人については性別変更を認めておらず、当事者らは見直しを求めています。一方で、こうしたケースでは家族の気持ちも重く受け止める必要があり、難しい問題です。

 Q 性別適合手術は安全なの?

 A 国内では専門医が足りず、長く待たされてしまうことなどから、約8割の人が海外で手術を受けています。しかし術後の合併症などが起きた場合、十分に対応してもらえないという問題も生じています。数百万円かかることもありますが、保険は適用外。医療面でも当事者の負担を軽減する対策が必要です。(生活報道部)

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毎日新聞 2010年2月18日 東京朝刊