子供の性同一性障害が大人になると (1)

Transgenderism and Intersexuality in Childhood and Adolescence: Making Choicesを読み終える。

小児および青年期の、GIDとISのデータ、治療方針など。
学問的に興味深い部分多々あり。
ということで、何回かに分けて、珍訳にて紹介。
今日は、
「小児期のGIDと成人のGIDの関連性」
について。
ここは、ホルモン療法の開始年齢の議論ともつながる大事なところだが、データの乏しいところでもある。

P62より。
以下、試訳。

子供のGIDの全てが思春期以降もTSになるわけではない。
GID少年のプロスペクティブな調査によれば、大人になりにTSになるより、同性愛になる関連性の方が強い。
この知見は、男女の異性愛者と比較して、同性愛男性が、異性装をしていたというレトロスペクティブな調査と一致する。

ZuckerとBradley(1995)はGID少年に関する北米の6つの追跡調査について記している。
99人の少年の中で、6%がTSになった。
これは実数より低い数値かもしれない。
調査した医師達は、多くの場合、少年達と連絡が取れなくなるからだ。
質問すべき事項は、微妙な事柄だが、母親からの情報しかない研究もある。
ZuckerとBradley自身の、追跡調査によれば、思春期前の45人のGID小児の中で、14%が思春期になっても性転換を希望した。
我々、Cohen-Kettenisの報告では、初診時に12歳前だった129人の小児の中で、74人が、すでに12歳を超えていて、すなわち性転換を今後希望する可能性があるということだ。
74人中、17人が強い性別違和を持ちSRSを望む青年だ(23%、女性8、男性9)。
彼らの初診時の平均年齢は9歳。(6歳から12歳の間)
再受診は平均して3年後。(0から9年の間)
17人中3人は既に反対の性ホルモン療法を開始している。
8人は男性化、または女性かを防ぐためのLHRHアゴニストの使用条件を満たす。
そのうちの6人は既に使用を開始している。
1人は、父の突然の死があり、診断を保留している。
残りの5人は、ホルモン療法の可能性は高いが、まだ確定的ではない。
17人中8人は反対の性別でフルタイムで生活している。
そのうちの1人はホルモン療法を開始いていない。
すなわち、小児期のGIDで、青年期になっても性転換を望むものは、文献よりも多い。
73名の年齢がまだ若いことを考えると、成人になって性転換を望む人の数はさらに高い可能性がある。
しかし小児のGIDへの追跡調査は、青年期を超えた者はまだいないので、現在のところデータはない。


明日以降に続く。