性同一性障害治療に新基準 思春期の体の変化抑制

共同通信

http://www.47news.jp/CN/201201/CN2012011201002038.html
性同一性障害治療に新基準 思春期の体の変化抑制
 心の性と体の性が一致しない性同一性障害について、日本精神神経学会は12日、思春期に訪れる「第2次性徴」で生じる体の変化を抗ホルモン剤で抑える治療を可能にするなどの新たなガイドラインをまとめた。

 これとは別に、体の性別と反対の性ホルモンを投与する治療では開始年齢を18歳から15歳に引き下げた。学会によると、こうした改定は男女の体の特徴が顕著になる前に治療を始め、心と体の違和感による苦痛を緩和するのが狙い。

 いずれも適用を見極めるため、患者は性同一性障害を専門的に治療するジェンダークリニックで2年以上診療を受けているのが条件となる。

(2012/01/13 02:06


http://mainichi.jp/select/science/news/20120113k0000m040131000c.html
性同一性障害:ホルモン療法の開始年齢15歳に引き下げ
 日本精神神経学会は12日、心と体の性別が一致しない性同一性障害GID)に苦しむ人が受けるホルモン療法の開始年齢を、これまでの18歳以上から条件付きで15歳以上に引き下げることを決めた。体の性別に対する深刻な違和感から低年齢で自殺未遂を起こしたり、不登校になるケースが少なくないことに配慮した。

 GIDの治療は、第1段階が精神科での診断とサポート、第2段階が内科的なホルモン療法と乳房切除、第3段階が性器の外科手術と進む。ホルモン療法では、女性が男性ホルモン剤を使うと筋肉量が増えて体毛が濃くなり、声は低くなる。男性が女性ホルモン剤を使うと、体脂肪が増えて乳房も膨らむ。

 ホルモン療法による体の変化は治療を中止しても後戻りできない部分も多く、18歳未満で始める場合は、2年以上にわたって医療チームの観察を受けていることなどを条件にした。また、思春期の体の変化を一時的に止める抗ホルモン剤の使用は、これまで指針がなかったが、第2次性徴が始まっていれば使用を認めることにした。

 GIDの治療指針は同学会がガイドライン(97年策定)で定めており、低年齢者への対応が緊急の課題になっていた。【丹野恒一】

毎日新聞 2012年1月13日 2時30分(最終更新 1月13日 2時36分)


http://www.kobe-np.co.jp/news/iryou/0004740244.shtml
神戸新聞
性同一性障害ホルモン療法 15歳以上に引き下げへ 
 日本精神神経学会性同一性障害GID)に関する委員会は12日、心の性に合わせて体を変える「性ホルモン療法」を、これまでの18歳から、条件付きで15歳以上に引き下げる方針を固めた。近く改訂する同学会の指針に盛り込む。生殖機能を失う可能性がある治療を中学3年生から認めることには慎重論もあるが、男女の特徴が著しくなる思春期途中で身体的治療に移れるため、幼少期から体に強い違和感を抱くGID患者にとっては朗報といえる。


 GIDのため女子として中学校に通う兵庫県播磨地域の中学1年生の男子生徒(12)が、昨年2月から、小児患者としては全国で初めて、体の変化を一時的に止めるため投与されている「抗ホルモン剤」についても指針に位置付け、条件付きで第2次性徴以降認める。

 改訂作業が大詰めを迎えているのは、同学会「性同一性障害に関する診断と治療のガイドライン第4版」。同委員会によると、新指針では、専門の医療チームによって2年以上診察を受けており、ジェンダークリニックに属し身体的治療の申請をした経験のある精神科医2人以上が賛成した場合、15歳から性ホルモン療法を始められる。同委員会への報告も義務づける。

 性ホルモン療法が始まると、男性の場合は胸が膨らみ、女性は月経が止まるなどし、精巣や卵巣が機能を失う場合もある。

 播磨地域の男子生徒が毎月投与されている抗ホルモン剤は、投与をやめれば再びホルモンの分泌が始まる「後戻りできる」治療であるため、併せて新指針に盛り込むことにした。

 一方、戸籍の性別を変更する場合の条件となっている「性別適合手術」の最低年齢は20歳以上のまま変えない。

(霍見真一郎)


性同一性障害の身体的治療

 心と一致しない体の性別をそろえるため行われる治療で、主にホルモン療法と性別適合手術がある。1969(昭和44)年に性別適合手術を行った医師が旧優生保護法違反として有罪判決を受け、身体的治療は公に行われなくなった。精神科医らでつくる日本精神神経学会が公表したガイドラインに沿って98年、性別適合手術が再開された。現ガイドラインでは、ホルモン療法は18歳から、性別適合手術は20歳からとなっている。

(2012/01/13 10:17)