子供の性同一性障害が大人になると (2)

おとといの続き。
Transgenderism and Intersexuality in Childhood and Adolescence: Making Choicesより。

どうして、筆者らのオランダのユトレヒトジェンダークリニックのGID小児が大人になってもTSになる割合が多いかについての考察部分。

以下試訳。

われわれのクリニックの患者で性転換を望むものが、他文献と比較して多い理由としては、われわれのクリニックが小国中の唯一のジェンダークリニックであるからかもしれない。
子どものジェンダーアイデンティティが、依然として問題であったり、より強いものとなっていると、親が確信した時に、クリニックまで遠い距離でないため、来院しやすいのかもしれない。
さらに、他のジェンダークリニックとの違いとして、われわれのクリニックではさまざまな治療方法が選択できる点がある。
もしクリニックで精神療法しか行われないのならば、青年期の多くのものは、再来院しないであろう。
われわれのクリニックでは、身体への治療も行うため、性転換を希望するものは、再来院し、必要な年齢になるのを待つのである。

しかし、すべての子供のGIDが、TSになるわけではない点は留意すべきだ。
このことについては多くの説明がされてきた。
子供のGIDは、大人のGIDとくらべ、重症度の点で、ばらつきが多いのかもしれない。
この場合、重症なGIDだけが、大人のTSになり、軽症なものは同性愛や異性愛者になるのかもしれない。
精神療法を受けた子どものGIDは、大人のTSにはなりにくい可能性もある。
しかし、この仮説を裏付ける長期的追跡調査はない。
最後の説明としては、大人になってTSになるような子どものGIDの場合、親は病院に連れてこないのかもしれない。
精神科医は主として、「TSにならない」子どものGIDを見ているのかもしれない。
この説が正しいとしたら、どうして将来TSになるような子どものGIDを親が病院に連れてこない理由は不明だ。
子どもの行動に不快感を覚え、そのことを否認したり、自然と治らないかと希望するのではと推測することは出来る。
しかし、そういう親の態度が、TSになるような子どものGIDの親に主に見られるかの理由は不明だ。

以上。
続きは明日以降。