完全な逆戻りが可能な治療の適用条件

Transgenderism and Intersexuality in Childhood and Adolescence: Making Choicesより。
(訳 by AJ)
P145
完全な逆戻りが可能な治療の適用条件
思春期の変化が始まるとすぐに、GIDの極端なタイプの思春期の人は、二次性徴遅延ホルモンの適用となりうる。しかし思春期の人は、二次性徴遅延についてインフォームドディシジョンを行えるべきである。それゆえ、思春期が到来しているとしたら、思春期発達の第二段階である、Tannerのステージ2に少なくとも達していることが望ましい。
思春期のGIDの人に、二次性徴遅延ホルモンを投与することは、2つの目的により正当化される。一つは、精神療法において、ジェンダーアイデンティティとそのほかの発達的問題について、さらに探訪をしていく時間を得ることである。2つ目は、その後に性別移行へと進んでいく場合に、パスを容易にしていくことである。当然のことながら、好ましくない結果は最小限にしたいと望む。それゆえ、一般的に、ホルモン治療の適用がある思春期のGIDの人は、以下の基準を満たしていることが望ましい。1.小児期・思春期を通じて、強い反対の性への行動とアイデンティティを示している。2.思春期の開始とともに性別違和が顕著に強まっている。3.家族の同意があり、家族が治療に参加している。
しかしながら、付記すべきこととして、今のところ、上記条件は実験的に検証されたわけではない。この条件は、経験のある臨床家達による同意によって、形成されてきた。
二次性徴遅延ホルモン治療は、反対の性別への治療の第一段階としてではなく、診断の一助として見なすべきだ。それゆえ、これらのホルモンだけが投与されるのであれば、反対の性別での生活の期間、すなわちRLEは必須の条件ではない。RLEの開始について、一般的なルールを決めるのは難しい。人格も生活環境も人により異なるからだ。16歳になり学校を卒業するまで待つ者もいる。そういった人は、反対の性別へのホルモン療法投与を始めるするときに、RLEを開始する。なぜなら、彼らは、社会的性役割を変更するときに、「本当に納得させられる」見かけでありたいと思うからだ。自分はすでに、納得させられる十分な見かけをしており、二次性徴遅延ホルモンの開始前から、望みの性別での生活を開始するものもいる。二次性徴遅延ホルモン開始して、男性化ないし女性化が進行しないことに安堵して、RLEを始めるものもいる。

Transgenderism and Intersexuality in Childhood and Adolescence: Making Choices (Developmental Clinical Psychology and Psychiatry)

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