フロイトの言うように夢が無意識の願望を表すとしたら。
高校時代の親友女子2人とセックスしていたのに、射精は大学の男の親友の口内にしてしまう、という夢を見るのだから、潜在的には同性愛かもしれない。
そもそも、親友男性と毎日一緒に泳ぎ、彼が時々泊まり、彼の食事をおいしくいただき、遅くまで語り合うという日常は、セックスがなくても、「きのう何食べた?」的な毎日である。
また、女性との恋愛がうまくいかないのも、今の彼女とEDになってしまうのも、女性に性指向がないのかもしれない。
もちろん物語の解釈的には、高校時代の親友たちの喪失体験というトラウマから、女性と親密になることに不安を覚え、退行的に男性同性愛的生活に平安を見出したとも考えられる。
しかし、そもそも高校時代に男女混合チーム5人組親友に平安を持つところ、思春期の異性愛同調圧力からの逃避だったのかもしれない。
だからこそ、ほかのメンバーの一人は後にゲイだと自覚するし、一人は性嫌悪ないし無性愛的セクシュアリティだったのだろう。
結局、主人公のセクシュアリティは最期まではっきりしないが。
そういう意味では「色彩を持たない」とは、セクシュアリティが定まらない、という意味なのかもしれない。
今後彼女との関係の進展で、彼のセクシュアリティも明確になるかもしれないが、それは物語の中では明示されない。
多崎つくるの旅はまだ続きそうだ、
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