「嫡出子認定を」不服申し立てへ 性同一性障害の夫

朝日.2012.1.28
http://www.asahi.com/national/update/0128/OSK201201270252.html
「嫡出子認定を」不服申し立てへ 性同一性障害の夫
 心と体の性別が一致しない性同一性障害のため、女性から男性に性別を変えた大阪府在住の夫(29)が27日、第三者精子を使った人工授精で妻との間にもうけた男児(2)を法律上の夫婦の子である嫡出(ちゃくしゅつ)子(婚内子)と認めないのは差別だとして、3月にも東京家裁に不服を申し立てることを決めた。

 夫は2008年3月に性別を変更して翌月結婚。男児が生まれた09年11月、当時住んでいた兵庫県の宍粟(しそう)市役所に嫡出子として出生届を出したが認められなかった。男児には今も戸籍がない。夫妻は「広く問題を考えてほしい」と東京に本籍を移し、27日に改めて新宿区役所に届けを出したが、非嫡出子(婚外子)に訂正するよう求められたため、司法の場で争うことにした。

 法務省は今回のようなケースについて、戸籍の記載内容から以前は女性だったことがわかるため「血縁関係がないのは明らか」として、父子関係は認めないとの立場だ。

 だが、生来の男性が他人の精子を使う非配偶者間人工授精(AID)で妻との間に子をもうけた場合は、役所の窓口では分からず実際には嫡出子として受理されており、夫妻の代理人の山下敏雅弁護士は「明らかな差別」と主張。「民法は父子関係に必ずしも血縁関係を求めていない」として、嫡出子と認めるよう求める。