夫婦の子:夫が性別変更 非嫡出子扱いに不服申し立てへ

http://mainichi.jp/select/jiken/news/20120127k0000m040093000c.html
夫婦の子:夫が性別変更 非嫡出子扱いに不服申し立てへ
 性同一性障害のため性別を戸籍上、女性から変更した東大阪市の会社員の男性(29)が、第三者から精子の提供を受けて妻との間に生まれた男児(2)が法律上の夫婦の子である「嫡出子」と認められないのは不当だとして、東京家庭裁判所に不服を申し立てることを決めた。27日に東京都新宿区役所男児の出生届を提出し、受理されなければ3月をめどに不服を申し立てる方針だ。

 男性によると、08年3月、戸籍の性別を変更して結婚。翌年、人工授精で男児が生まれた。しかし、当時住んでいた兵庫県(宍粟しそう)市は「生物学的に親子関係は認められない」として嫡出子と認めなかったといい、男児は戸籍がない状態が続いている。

 男性は2年前に東大阪市に転居後、本籍のあった大阪市に出生届を提出したが、受理されなかった。10年3月に当時の千葉景子法相が法改正検討を表明し、法務省にも何度か足を運んだが、「我々にはどうすることもできない」と告げられたという。男性は「国は期待だけさせて放置している。法改正なしで区役所が認めるのは難しい。自分たちの子と認めてもらうには、家裁に申し立てるしかない」と話した。

 法務省によると、戸籍の性別を女性から男性に変更し、第三者精子を使った人工授精による子どもの出生届を提出したのは、04年の性同一性障害特例法施行以来、16件。性別を変更した夫は、性別変更の審判を受けたことが戸籍に記載され、「生物学的な父でないことが明らか」なため、民法の規定に照らし、自治体からの照会には非嫡出子とするよう回答しているという。

 戸籍法では、戸籍事務に責任を負うのは市町村長や区長で、処分に不服があれば家裁に不服申し立てができると定めている。【稲生陽、堀江拓哉】

毎日新聞 2012年1月26日 23時46分(最終更新 1月27日 9時21分)