『同性愛の謎 なぜクラスに一人いるのか』拝読。
それなりに面白かったが、なんというか。
繁殖力のないはずの同性愛がなぜ一定数いるのかという謎に迫り。
結論としては、ゲイの母方女性は子どもが多いから、と。
つまり、同性愛遺伝子は、男性では男性同性愛者となるが、女性では子どもをたくさん生む作用があり、一族としてはそれなりに繁殖力があるというもの。
しかし、この本全体の核心的な部分であるこの説の引用論文の、理論モデルについては、
P206
>数式だらけのその論文は、もはや私の理解の範囲を超え、皆さんに説明することが出来ないのが残念だ。
と。
理解できないなら、本を書くな、といいたいが。
全体的には、論文の引用と、著者の推論が入り混じり、どこまでがエビデンスなのかが分かりにくい。
また、著者はクイーンのフレディのファンであり、同性愛に対し「否定的な感情を抱いたことがない」そうだが。
P158
(60年代ゲイが解放へ向かったあとに)
>七〇年代になると、振り子はもはや振り切れすぎの状態になる。この時代のつけが、八〇年代のエイズ禍へとつながるのである。
P159
>九〇年代以降になると、同性婚がいくつかの国で認められることになる。それは人権が認められたこともあるが、エイズ禍から得た教訓によるものでもあり、ペアの関係をしっかり築こうということでもあるらしい。
と、なんか歪んだ史観を披露。
あと、本の帯は著者じゃなく、編集者の責任だと思うが、
>双子の片方がホモなら、もう一人の確率は?
決定的なのは
>彼らが存在する理由がついに明らかに!
とある。
存在理由がないと存在してはいけないかというように。
人間が存在する理由は、そこに存在しているからである。
ほかに理由などいらない。
http://hon.bunshun.jp/articles/-/468
- 作者: 竹内久美子
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- 発売日: 2012/01/01
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