NYで恒例ゲイパレード オバマ氏の同性婚支持で熱気

朝日2012年6月25日
http://www.asahi.com/international/update/0625/TKY201206250098.html
NYで恒例ゲイパレード オバマ氏の同性婚支持で熱気
 同性愛者らが奇抜な格好で練り歩く毎年恒例の「ゲイパレード」が24日、ニューヨークの目抜き通り、5番街で繰り広げられた。米大統領として史上初めてオバマ氏が同性婚の支持を表明したこともあり、参加者のパフォーマンスにも熱が入った。

 同性愛者ら性的少数者の権利を主張したパレードは1970年にニューヨークで始まり、世界に広がった。参加したのは政治団体、教会、企業、人種団体から各種スポーツ愛好者まで多種多様。昨年、同性婚を認める法律が成立したニューヨーク州の知事も参加した。

 パレードでは同性婚に関する主張も目立った。男性の国際カップルは「10年も一緒なのに永住権がもらえない。もう待てない」とのプラカードを掲げた。沿道で声援を送っていたデュアンさん(39)は「大統領が同性婚を認めたのは、いいタイミングだ。むしろ、遅すぎるぐらいだよ」と話した。(ニューヨーク=真鍋弘樹)



サラダボウル:in the U.S.A 虹色の連帯=堀山明子

 子供のころ、カラフルな虹を描くのが好きだった。虹が同性愛者への連帯を意味する旗の色だと知ったのは、昨年ロサンゼルスに赴任してからだ。
 カリフォルニア州ウェストハリウッドで6月10日に行われたゲイパレードには全米から約40万人が集い、中心部のサンタモニカ通りは虹色に染まった。毎年恒例の行事で、沿道のアパート住民はベランダを七色の風船で飾り、上から声援を送った。オバマ大統領が5月に同性間の結婚を支持したため、今年は虹色の台紙に大統領の顔を描いたポスターも登場。中国系米国人のゲイグループは虹色の中国国旗を掲げ、思い思いに権利拡張を訴えた。
 パレードには性同一性障害両性愛者らも加わり、多彩な性的マイノリティーが結集する場になっている。マッチョな女性、化粧した男性……たくさん見るうちに男女の境界線が分からなくなる。市議や公務員は車に肩書を書いて存在感をアピール。大手銀行やテレビ局、スーパーの従業員は会社名を掲げ、数百人の長い列をつくった。
 会場となったウェストハリウッドは1984年、同性愛者の権利を訴える活動家が中心になって住民投票運動を起こし、ロサンゼルスから独立した人口約3万4000人の市だ。住民の4割が同性愛者で、同性カップルも夫婦として病院の面会や保険適用を認める市独自のパートナー制度を持つ。
 ジェフリー・プラング市長(50)もゲイ。前夜祭あいさつで「ハズバンドを紹介します。恥ずかしがらないで出てきて」と壇上に招き、拍手を浴びた。虹色の連帯は「いてもいいよ」ぐらいの暗黙の了解ではなく、コミュニティーの片隅で息を潜めている存在を引っ張り出し、公に認め、偏見をなくしていく作業だと感じた。
 今月初めの世論調査によると、「幸せだ」と感じる10代の同性愛者は全米平均で37%で、同性愛者ではない10代平均の67%に比べて大幅に少ない。カリフォルニア州の10代同性愛者の幸せ率は40%。同性愛者平均を少し上回ったものの、それでも低い。今も差別が根強いからこそ、パレードで掲げた大手企業の看板や高い地位の肩書が励ましのメッセージになったのだ。
 パレード会場では小学生ぐらいの子供も多く見かけた。この子たちはどんな虹を描くのだろうか。少なくとも、カラフルな風景としか思わなかった私と違って、虹色の旗を掲げて叫ぶ人たちの姿を思い浮かべるだろう。成長が楽しみだ。(ロサンゼルス支局)

[毎日新聞社 2012年6月25日(月)]