LGBTへの理解求めパレード 安倍昭恵さんらも参加

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朝日新聞
LGBTへの理解求めパレード 安倍昭恵さんらも参加
田中陽子

2014年4月27日20時04分
 レズビアンやゲイ、性同一性障害などLGBTの人たちへの理解を求めるパレードが27日、東京都の代々木公園周辺であった。「あなたの友だちにもLGBTはいます」など思いを込めた言葉を書いたボードや、性の多様性を象徴する虹色の旗を掲げ、約3千人が渋谷や表参道の繁華街を歩いた。

 今年は、セクシュアルマイノリティー(性的少数者)による日本初のパレードから20年の節目になる。首相夫人の安倍昭恵さんや、作家の乙武洋匡さんも参加した。

 東京都に住む両性愛者の女性(19)は、女性の恋人と参加。「同性婚を法律で認めてほしい」と語った。女性から男性への性転換手術を受け、性別変更を申請中の会社員(27)は、「性別を変えられるのは先駆者のおかげ。悩んでいる人はまだ大勢いる。自分も力になりたい」と話した。

 LGBTは、レズビアン(L)やゲイ(G)、両性愛バイセクシュアル(B)、心と体の性が一致しないトランスジェンダー(T)の総称。電通総研の2012年調査によると、成人約7万人のうちLGBTの割合は5・2%だった。パレードは、性的少数者にかかわる催しを5月6日まで連日開く「東京レインボーウイーク」の一環。2年目の今年は、歌手MISIAさんが応援ソングを提供した。映画祭(29日)や子どもたちへの公開授業(5日)など、昨年の倍にあたる約50のイベントがある。性同一性障害で性別を女性から男性に変更し、第三者提供の精子で妻との間に子をもうけた男性の講義もある(4日)。昨年12月、最高裁はこの男性を法的に父親と認めた。詳細はウェブサイト(http://www.tokyorainbowweek.jp/)。

■「性別でなく個性見る社会に」

 「ウソはつきたくないけれど、言えない」

 「すごい開放感。一人じゃないとわかった」

 「性別でなく、その人をみて」

 「当たり前のことをするのに壁がある」

 27日のLGBTパレード。思い思いの装いで、それぞれの思いを胸に、参加者は街を歩いた。

 「ぼくらはもうすでに一緒に生きている」と書かれたボードを持った東京都の福祉施設職員谷山広さん(44)は、同性愛者だとカミングアウトしている。「僕の前でも、(ゲイを)バカにしたような話題で笑いをとる人もいる。僕たちのような人の存在が意識されていないのだと思う」と話す。

 一緒に参加したパートナーの教員(22)は、ごく一部の友人にしか打ち明けていない。「同性愛者なのかと聞かれることがよくあるが、うやむやにしか答えられない。ウソはつきたくないけれど、言えない」

 紫色のセミロングのかつらをつけた東京都の大学生(21)は、この日初めてスカートをはいて街を歩いた。男性である自分の体に5歳ごろから違和感を持っていた。女装は自分の部屋でしかできなかった。「すごい開放感。仲間がたくさんいて、一人じゃないとわかった。沿道の人も手を振ってくれたりハイタッチをしたりしてくれて、LGBTかどうかに関係なく理解しあえると感じました」

 広島県東広島市から来た大学3年生(20)は、「心は男性である自分を理解してくれるのは、普段はごく一部。同じ気持ちで歩く仲間がこんなにいて、うれしかった」と話した。高校のセーラー服が憂うつで仕方なく、「お面をかぶっている気分だった」。就職活動を前に、カミングアウトするか、社会が受け入れてくれるか、不安が募る。「性別でなく、その人個人を見てもらえる社会になってほしい」と話す。

 レズビアンカップルの室井舞花さん(27)と恩田夏絵さん(27)は、昨年6月に東京都内で結婚式を挙げた。だが法的には同性の結婚は認められていない。恩田さんは「家を借りる際に『友人と同居』扱いとなったり、保険に家族として入れなかったり、当たり前のことをするのにいくつも壁がある」と話す。

 レインボーウイークのイベントの一つとしてJR中野駅ガード下ギャラリーで5月11日まで開かれている写真展「Love is Colorful」に、2人の写真も展示されている。(田中陽子