両性役割服装倒錯症は、使い物にならない診断基準

ふだんDSMを使ってICDはあまりみないが。
あらためて、ICD10の「両性役割服装倒錯症」の診断基準を熟読し、いまさらながら、この診断基準、まったく使い物にならないな、と思った。


F64.1 両性役割服装倒錯症 Dual-role transvestism
A.一時的に異性の一員になる体験をするために、異性の衣服を着用すること。
B.服装を取り変えるについては性的な動機は全くないこと。
C.永続的に異性に変わりたいという願望は全くないこと。


問題なのは、基準のC.
「願望は全くない」という基準が極端すぎる。
この診断基準に当てはまるのは、完全な遊びでの、趣味女装の人とか、コスプレーヤーさんたち。
彼らは、精神科なんかには来ないし、精神疾患扱いするのもどうかと思う。


臨床で出くわすのは、
GIDに当てはまるほどの違和感ではないが、女装をしていて、時々本当に女性になりたいな、と思う。とか、男性として生きていくつもりだが、ホルモンで胸くらいはちょっと膨らませたいな、と思う。」
という感じの人々。
こういった人々は、両性役割服装倒錯症にあてはまらないし、性転換症にもあてはまらない、ことになる。


疾患リストがすべてを網羅するのは無理な話だが、当てはまらないほうが多数という診断基準はいかがなものかと思う。