性同一性障害 性別変更緩和へ

http://mainichi.jp/kansai/news/20080604ddn012010030000c.html
性同一性障害:特例法「子なし要件」緩和、条件残り「0.5歩前進」
 戸籍の性別変更で性同一性障害者特例法(GID特例法)の「子なし要件」が緩和される見通しになった。「未成年の子がいないこと」という条件が残るため、当事者は要件全廃を引き続き国に求めていくことにしている。

 ◇「ゴール見えた」
 来年3月に長女が成人する兵庫県尼崎市の会社員、大迫真実さん(52)=通称=は「ゴールが見えた。娘に了解を取った上で性別を変えたい」と喜んだ。

 男性として生まれ、女性として暮らす。長女の親権は元妻に譲ったが、月に2、3回会い、宝塚歌劇や歌舞伎を一緒に鑑賞する。「娘はお父さんと呼ぶけれど、女性として接している。戸籍の性別を変えても、娘に悪影響はない」と断言する。

 要件全廃を訴えてきた奈良県生駒市の会社員、森村さやかさん(47)=通称=は「0・5歩前進。これからも活動を続ける」と話す。男性として生まれ、女性として暮らしている。子供は義務教育を受けており、法改正されても戸籍の性別を変えるには5年以上待つことになる。

 06年11月、奈良家裁に戸籍の性別変更を申し立てた。子なし要件は違憲だと最高裁まで争ったが、棄却された。「法だけでなく、周りの意識を変える活動も続ける」と前を向いた。

 ◇「15歳娘は理解」
 大阪府岸和田市の元会社員、北野ひかりさん(41)=仮名=は男性として生まれたが、性同一性障害と診断された。今年3月に離婚し、4月から男性のパートナー(52)と同居を始めた。

 長女(15)は「早く(戸籍の性別を)変えられたらええな」と応援してくれるが、同居男性との婚姻届は戸籍の性別が変わらない限り、受理されない。「子供は事情を理解している。なぜ普通の人ができる結婚が、私には認められないのか」と訴えた。【高瀬浩平】

毎日新聞 2008年6月4日 大阪朝刊