「パパは女・ママは男」OK 性同一性障害巡り法改正へ

2008.4.8.朝日
http://www.asahi.com/national/update/0407/TKY200804070296.html
「パパは女・ママは男」OK 性同一性障害巡り法改正へ
2008年04月08日08時01分

 心と体の性が一致しない人が戸籍上の性別を変えられる「性同一性障害特例法」をめぐり、与党は、子どもがいる場合は性別を変更できない「子なし要件」を緩和する改正案を参院に提出する方針を決めた。子どもが成人したのを条件に「女性の父」「男性の母」が認められることになる。
 民主党も同様の検討をしており、与野党間の調整がつけば、今国会中に超党派議員立法で改正される見通しだ。
 性同一性障害者は、外見と戸籍の性別が異なることから、正社員として就職できなかったり、パスポート申請で問題になったり、様々な不利益が指摘されてきた。このため、04年7月に施行された特例法により、家裁の審判を経れば戸籍の性別を変えられるようになった。
 しかし、現行法では、子どもがいる場合は、「性別を変えると、混乱する」などとして、家裁で審判を受けられない。当事者には、当初から改善を求める声が強かったうえ、付則で施行3年後の見直しが定められていた。このため与党は、要件を「現に成人していない子がいないこと」と改正する方針で、子どもの成人を条件に、「子なし要件」を緩和する。子どもの年齢にかかわらず、撤廃を検討している民主党も与党との調整に応じる見通しだ。
 同様の特例法は、多くの欧米諸国で整備されているが、「子なし要件」があるのは、日本のみだという。この問題に詳しい大島俊之・九州国際大教授(民法)は「子どもはすでに、親の姿が変わるのを見てきている。戸籍の届け出が変わることで混乱するとは思えない」と指摘する。
 一方、法務省などは「法改正されれば『女である父』や『男である母』が初めて出現する。こうした新しい事態が果たして社会的に受け入れられるのか。家族秩序に混乱が生じる可能性があるのではないか」などと懸念を示す。(市川美亜子)