「在日朝鮮・韓国人と日本の精神医療」を読む。
元ばりばりの革命運動家?が書いたというバイアスはあるが、大変興味深い。
基本的には20年前に書かれた論文なので、今の時代どうかな、と思う点もあるが、当時が知れるという点では逆に興味深い。
差別構造におかれると妄想性疾患を発病しやすいという学説も半信半疑だが。
ただ、在日朝鮮人・韓国人かつ精神障害者という2重の差別におかれた人たちの処遇の問題への焦点、問題意識はなるほどと思う。
いずれにせよ、上の世代の精神科医は重厚な仕事をする。
敬服。
あとはidentityに関するメモ。
P108
差別構造におかれた、在日朝鮮人・韓国人が形成する3つのタイプのアイデンティティ。
辺縁同一性marginal identity:日本人にも朝鮮人にもなりきれない「半日本人的な存在」
対抗同一性counter identity:日本的なものに対立・葛藤が生じ、それを乗り越えるような形で形成されたもの
似非同一性as-if identity:完全に日本人に同化したわけではないか、生きる手段として差別や排除から免れるために、民族性を隠して表面的に適応して生きる場合

- 作者: 黒川洋治
- 出版社/メーカー: 批評社
- 発売日: 2006/12/01
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 8回
- この商品を含むブログ (7件) を見る