子がいる性同一性障害の男性、性別変更の希望かなわず

http://www.kobe-np.co.jp/kobenews/sg/0000196854.shtml
神戸新聞
女性への変更却下 性同一性障害 尼崎

2006/12/20

 心と体の性が一致しない性同一性障害GID)に悩む尼崎市の会社員、通称大迫真実(まさみ)さん(51)が、戸籍の性別変更を求めた審判で、神戸家裁尼崎支部は二十日までに、申し立てを却下した。大迫さんは大阪高裁に即時抗告する方針。
 審判は今月十五日付で、大迫さんは十六日に郵送で書類を受け取ったという。
 それによると、申し立てに「家族秩序に対する影響は少ない」と一定の理解を示したものの、戸籍変更については、「個別の事案ごとに判断すると子どもの心情や親子の交流に影響を与える」などとして却下した。
 大迫さんは女性と結婚し、一児をもうけたが、男性である自分に対する違和感は消えず、その後離婚。二〇〇三年に性同一性障害と診断を受け、海外で性別適合手術を受けた。現在、高校生の長女(17)とは月一-二回、会っているという。
 性同一性障害特例法は「現在、子どもがいない」ことを性別変更の条件としており、大迫さんは特例法の対象外。同様の申し立てでも、子どもがいる場合はいずれも却下されている。
 ◆性同一性障害◆ 生物学的には完全に正常で自分の肉体がどちらの性に属しているかを認知していながら、人格的には自分が別の性に属していると確信している状態。男性の3万人に1人、女性の10万人に1人に発現すると推測されている。2003年には特例法が成立。一定の条件の下、成人した性同一性障害者が戸籍の性別を変更することが可能になった。


http://www.kobe-np.co.jp/kobenews/sg/0000196855.shtml
神戸新聞
落胆「精神的苦痛続く」 特例法の壁高く

2006/12/20

 「精神的苦痛は消えない」-。性同一性障害GID)と診断された男性が申し立てた戸籍変更を却下した神戸家裁尼崎支部の審判。男性の家庭環境に理解を示しつつも、その判断は、「子どもがいないこと」を条件とする特例法の壁の高さをあらためて示した。
 この日、尼崎市内で会見した通称大迫真実さん(51)=同市=は、「却下は予想していたとはいえ、ショックは大きい」と落胆した様子。「特例法が見直されない限り、健康保険証やパスポートも男性と表記されるなど、精神的苦痛は続く」と訴えた。
 大迫さんは先月十三日、神戸家裁尼崎支部に性別変更の申立書を提出。約二週間後に、同支部の家事裁判官から審問を受け、事実関係や申し立ての趣旨を述べたという。
 その思いが届いたのか、審判理由では、「子どもが父母の性別の変更を受容したり、親子の交流が希薄であるなど、家庭秩序への影響は少ない」と大迫さんの主張に理解を示した。だが、「(その程度で)個別に判断することは、かえって影響を与える」と、戸籍変更を認めるには至らなかった。
 会見に同席したGID学会理事長で神戸学院大法科大学院の大島俊之教授は「審判理由では『子どもの利益のため父親は戸籍上、男性のままにすべき』とする法務省の見解を批判しており、評価できる点もある」と指摘。ただ、申し立て却下という結果に「条件は依然として厳しい」と話していた。(飯田 憲)


http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200612200022.html
朝日新聞関西
子がいる性同一性障害の男性、性別変更の希望かなわず
2006年12月20日
 心と体の性が一致しない性同一性障害GID)で子どもがいる兵庫県尼崎市の会社員、大迫真実さん(51)=通称=が、男性から女性へ戸籍上の性別変更を申し立てたのに対し、神戸家裁尼崎支部は「子どもがいるのに性別変更を認めると、父母の属性と男女の性別の不一致が生じ、子どもに心理的な混乱や不安を与える」などとして申し立てを却下した。大迫さんは「親子関係に悪影響を及ぼすという判断の、合理的な根拠が示されていない」として大阪高裁に即時抗告する方針。
 04年に施行された「性同一性障害特例法」では、子を持つ人の戸籍上の性別変更を認めていない。奈良県生駒市派遣社員、森村さやかさん(46)=通称=も奈良家裁に大迫さんと同様の申し立てをしている。


http://kumanichi.com/news/kyodo/index.cfm?id=20061220000123&cid=social
共同通信
「女性への変更」却下 尼崎、性同一性障害

 性同一性障害GID)に悩む兵庫県尼崎市の会社員、通称大迫真実さん(51)が申し立てていた男性から女性への戸籍の性別変更を、神戸家裁尼崎支部は20日までに却下した。

 大迫さんは女性と結婚、子どもをもうけた後に離婚、性別適合手術を受けた。性同一性障害特例法は「現在、子どもがいないこと」などを変更条件にしており、尼崎支部も法律の要件を満たしていないことを却下の理由としている。

 大迫さんは「今の姿と戸籍の性の不一致が続くことは不安。認めないのは子どもの福祉のためと言うが、親子関係に影響を及ぼす離婚は認められているのに」と話しており、大阪高裁に即時抗告する意向を示した。


サンケイ
http://www.sankei.co.jp/shakai/jiken/061220/jkn061220004.htm
「女性への変更」却下 尼崎、性同一性障害

 性同一性障害GID)に悩む兵庫県尼崎市の会社員、通称・大迫真実さん(51)が申し立てていた男性から女性への戸籍の性別変更を、神戸家裁尼崎支部は20日までに却下した。
 大迫さんは女性と結婚、子どもをもうけた後に離婚した。性同一性障害特例法は「現在、子どもがいないこと」などを変更条件にしており、対象外者の申し立てに裁判所がどう判断するか注目されていた。
 大迫さんは性別適合手術を受けたが戸籍上は男性のため、日常生活で不便を強いられていると訴えている。
(2006/12/20 10:27)