性同一性障害を受け入れ 小2男児、女児として通学 播磨地域、追加記事

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060518-00000062-mai-soci
性同一性障害>これからの問題も… 兵庫の小2受け入れ

 性同一性障害GID)と診断され、体は男児だが女児として通学している小学2年生。地元・兵庫県内の教委が保護者側の意向を受け入れたことに、専門家 らは一定の評価をする。しかし、水泳授業、性教育……。学年が進み体が成長するにつれて直面する現実がある。男児の「心の性」をどう受け入れるのか。教育 現場や地域社会も問われている。
教育委員会
 会見した地元の教育委員会によると、男児は5歳のころ、母親に「おちんちんは取れないの?」と問いかけ、自分が男児であることへの違和感を訴えた。兄と同じ少年野球教室に通わせようとすると、かたくなに拒み、バレエ教室に通わせると喜んでいたという。
 女児として学校生活にとけ込んでいるが、5年生になると、学校行事として合宿が行われ、その際、クラスメートと一緒の入浴もある。第2次性徴を迎える時 期で、その際の対応について教委は「状況をみて慎重に対応したい」と話しているが、子どもたちが神経質になる時期であり、多くの課題が残っている。
■当事者たち
 当事者団体「性同一性障害をかかえる人々が、普通にくらせる社会をめざす会」(東京都)によると、GIDの診断を受けた人は全国で延べ約4000人いる といわれ、国内外で既に性別適合手術を受けた人は1000人程度とみられている。昨年末までに約370人が戸籍上の性別変更を家裁に申し立て、約330人 が認められた。
 同性愛者であることを公表した大阪府議の尾辻かな子さん(31)は「学校や教育委員会が本人の意思を尊重した対応」と評価する一方、「幼いころの性別へ の違和感は将来揺らぐこともある。まだ思春期を迎える前に、GIDの診断を受けたのは早すぎる気もする。性の多様性に目を向けた対応が必要だ」と慎重さも 求めた。
 男性から女性に性別を変更した東京都世田谷区議の上川あやさん(38)は「第2次性徴や思春期の前で、慎重にみなければならない時期ではあるが、体の性 に対する本人の嫌悪感が強いのならば現実的な対応。大人の『事なかれ主義』で子どもが置き去りにされることを避けた点で評価できる」と話す。
■識者
 教育評論家で法政大キャリアデザイン学部尾木直樹教授は「人権を尊重した先駆的な行政判断」と評価しながらも、今後、いろいろな問題が起こると指摘す る。「現在は女の子とプールに入ったり、体操をしたりできるだろうが、小学4年生ぐらいになるとクラスメートも気づきはじめ、周りとの関係が難しくなるだ ろう。教師やクラスメートの父母らは、善意のつもりでむやみに動くようなことはしないほうがいい」と慎重な対応を求める。
 尾木教授によると、北欧では同様の実例があるといい「そうした事例を研究している専門家や精神科医、カウンセラーと早急にプロジェクトチームを作り、保護者や子どもにヒアリングをして今後の接し方を考えていくべきだ」と話した。
 ◇依然高いハードル
 性同一性障害GID)をめぐる社会環境は厳しく、横浜市の男性が勤務していた出版社から女装を理由に解雇され、地位保全の仮処分を申し立て、02年6 月に認められたケースもあった。一方で、同年3月に女性として活動していた競艇選手、安藤大将さん(当時は千夏)が、男性としての活動を認められた。03 年には戸籍上は男性の大阪市の職員が女性として勤務を始めた。
 03年7月には家庭裁判所の審判で戸籍の性別を変えられる特例法が成立、04年の施行後にタレントのカルーセル麻紀さんが男性から女性に、作家の虎井ま さ衛さんが女性から男性に、それぞれ戸籍を変更した。しかし、GIDの人たちでつくる団体などは「依然ハードルが高い」と指摘、子供がいないことなどを変 更要件とする同法の改正を求めている。
毎日新聞) - 5月18日13時49分更新


http://www.kobe-np.co.jp/kobenews/sg/0000033414.shtml
http://www.kobe-np.co.jp/kobenews/sg/0000033420.shtml
神戸新聞
「女の子やもんな」医師の一言で明るく 母親が手記

2006/05/18

  性同一性障害と診断され、女児として小学校に通う播磨地域の男児(7つ)の母親が、十八日までに神戸新聞社に手記を寄せた。生後間もなく患った大病、初め て異変を感じた出来事など、男児の生い立ちをたどり、医師に女児として育てるよう言われた気持ちを「息子は娘になりました」とつづっている。「性同一性障 害としてではなく、一人の女性として、自然に接していただきたい」。三枚にわたる手記は、「わが子のために頑張っていきたい」で終わる。手記の全文は以下 の通り。
     ◇     ◇
 私の二男が性同一性障害と診断されたのは、6歳のときでした。
 小さいころから病気がちで、生後2週間から入退院を繰り返し、原因不明の数種の病気をしてきました。そして、ただただ「生きてほしい」という思いで今まできました。
 そんな中、異変を感じたのは5歳のときでした。もともと、性格もおとなしく、内気な子でかわいいものが大好きな息子に「男らしくなってほしい…」と思い、長男が所属する野球チームに入団させました。
  何度か練習に通ったある日、「なんで女の子やのに野球をせなあかんの?」と言われ、耳を疑いましたが、「おチンチン付いてるから、女の子じゃなくて、男の 子やん」と言うと、「じゃあ、なんで女の子やのに付いてるんよ」と泣き出してしまい、その後2週間、食事もあまり取らず、笑うことも泣くことさえもしなく なりました。
 そして小児科で相談し、心理に通い始め、今ではジェンダーの専門の先生に受診しています。先生には「女の子として育ててあげ ればよい」と言われ、本人にも「女の子やもんな。おチンチンみたいなのが付いてるだけで、女の子やもんな」と言い、その「女の子やもんな」の一言で、息子 は娘になりました。
 おとなしく、内気な子が一言でとても明るく活発になり、想像もできないくらい変わり、人前に出ることも大好きになり、通っていた当時の保育園の先生方もびっくりするほどでした。
 病気がちだったことも忘れるほど、元気になりました。「女の子やもんな」の言葉によって、精神的にも落ち着いたからでしょう。息子にとっては、この言葉がとても大きく意味のある深いものでした。
 認められることにより、「この子がこんなに喜んで、元気でいてくれるのなら…」と家族みんなで認め、女の子として育てることにしました。
 このことを通っていた当時の保育園の担任に話を聞いていただき、ご理解してくださり、楽しく保育園に通うことができました。また、教育委員会をはじめ、小学校の先生方にもご理解とご協力をいただき、女児として入学いたしました。
 今では、大好きな学校と5歳から習い始めたバレエ教室に通い、毎日がとても楽しく、明るい女の子として日々過ごしています。
 たくさんの方々に支えられ、ご理解とご協力をいただけたおかげで、わが子が毎日楽しく過ごせることを心より感謝し、この場をお借りしてお礼申し上げます。
 現在、わが子のように、たくさんの方々が同じように苦しんでおられるようです。性同一性障害としてではなく、一人の女性(男性)として、自然に接していただきたいと思います。そして、ご理解いただき、温かく見守っていただければ幸いです。
 これから先、成長とともに乗り越えなければならないたくさんの壁と出合うことでしょう。そして、その都度向き合い、乗り越えていくためにも、私自身もっと勉強し、わが子のために頑張っていきたいと思います。



神戸新聞
学籍上は男児と記載 「学校側の配慮」 性同一性障害受け入れ

2006/05/18

  播磨地域の小学校二年男児(7つ)が、心と体の性が一致しない「性同一性障害GID)」と診断され、教育委員会が女児での受け入れを認めた対応で、学校 に保存する「学籍」では、戸籍の性別と一致させるべきとの判断から、男として記載していることが、十八日までに分かった。GID患者の戸籍の性別変更を認 める特例法(二〇〇四年施行)は成人が対象で、児童の戸籍上の性別は変えられない。教育委員会側は、今回の受け入れを「学校の配慮によって実現した」とし ている。
 学籍は、国が学校に義務付けている「指導要録」の「学籍に関する記録」のこと。児童生徒の氏名や住所、生年月日などに加え、性別 の記入欄がある。学校教育法施行規則によると、保存義務は二十年。小学校は、学籍に記した情報を、児童の転校先や進学先の中学校などに申し継いでいく。
 教育委員会の話では、昨年一月、男児の祖母から「女児で受け入れてもらえないか」と相談を受けたときから、学籍上の性別は体の性に合わせる方針だったという。
 男児が通う学校では、出席簿や座席、トイレなど、ほかの児童の目に入るすべての面で「女児」としての扱いを徹底している。入学式も女児の列で出席させた。
 教育委員会によると、学校側が性同一性障害の子どもを心の性で扱うよう定めたマニュアルなどはない。この男児の場合も、女児として扱うことを記した文書は存在しないという。
 男児の母親は「戸籍は男で、女であることを証明するものは何もない。教育委員会や先生など、たくさんの方のご理解とご協力に、深く感謝している」と話している。(霍見真一郎)
http://www.kobe-np.co.jp/kobenews/sg/0000033421.shtml
地元教委会見「よりよい成長願い判断」

2006/05/18

 播磨地域で「性同一性障害GID)」と診断された男児(7つ)が、女児として通学していることを受け、地元の教育委員会が十八日午前、会見し「子どものよりよい成長を願っての判断。周囲ともども温かく見守ってほしい」と要請した。
 同委によると、受け入れは「女児としての扱いを望む男児への配慮」が最大の理由とした。昨春の入学から現在に至るまで、校内では「女児としてごく自然に振る舞っている。周囲との摩擦や問題はこれまでのところ一切ない」と説明した。
 兵庫県教委の岡野幸弘教育次長も会見し、「これまでこういった事例は聞いたことがない。今後の対応を考える上で、(男児の)人権、プライバシーに対する注意がポイントになる」と話した。


http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/kyousei_news/20060518ik09.htm
小2男児性同一性障害と診断
女児として学校生活
 兵庫県内の小学2年男児(7)が、心と体の性が一致しない「性同一性障害」と診断され、「女児」として通学していることが18日、明らかになった。
 保護者の相談を受けた教育委員会は「保護者、児童の希望や、医師の判断を尊重し、女児としての受け入れを決めた」と説明している。文部科学省などによると、児童生徒の性同一性障害を学校現場が受け入れるのは極めて珍しい。
 教育委員会によると、児童は5歳の時に性同一性障害が表れ、通っていた保育園で男の子と同じグループ分けをされるのを極端に嫌がるようになり、食事を取らない日が続いたという。
 このため、小学校入学を控えた昨年1月、祖母が教委に「女児として受け入れてほしい」と相談。専門医からも性同一性障害と診断され、「子どもが生 活しやすいように配慮するのが、本人の幸せでは」とアドバイスされたといい、保護者と教委、学校が面談を重ねた結果、女児としての受け入れを決めたとい う。
 児童はスカートでの通学が多く、他の児童や保護者は男児と知らず、トラブルなどはないという。
 教委側は18日午前、記者会見し、「高学年になると宿泊訓練など難しい問題も出てくるだろうが、保護者や本人の意向を確認しながら対応していきたい」と話した。
 性同一性障害学会副会長で大阪医科大学の康純講師(精神科)の話「低学年では男女の区別の必要性がほとんどなく、現状の対応で問題はない。だが思春期になると身体も成長し、問題が生じる可能性がある」
 性同一性障害GID) 外形的な性別と、いわゆる心の性別が一致しない、世界保健機関(WHO)で認める医学的疾患。国内の主要医療機関では約4000人がこの障害と診断されたが、原因は不明。
(2006年5月18日 読売新聞)


http://www.asahi.com/life/update/0518/009.html
朝日新聞
性同一性障害男児 小学校が「女児」として受け入れ
2006年05月18日12時21分
 兵庫県内の公立小学校が、心と体の性が一致しない「性同一性障害」(GID)と診断された小学2年の男児(7)を、女児として通学させていることが18 日、わかった。地元自治体の教育委員会が、医師のアドバイスなどをもとに判断し、受け入れを決めたという。思春期の「第二次性徴」を控えた児童が体とは別 の性で学校生活を送る例は全国でも珍しく、専門家からは慎重な対応を求める声もあがっている。
 教育委員会によると、この男児は幼児期から、ぬいぐるみやスカートが好きで、男の子として生活することに苦痛を感じていた。小学校入学前の05年1月ご ろ、大阪府内の病院で性同一性障害と診断され、医師からは「女の子と認めていく方向が望ましい」とアドバイスを受けたという。
 教育委員会と学校は、保護者と面談した結果、医師のアドバイスをもとに、入学直前の同年3月末に女児として受け入れることを決定。入学 後は、出席簿や身体測定などで女児として扱い、水泳も女児の水着で参加し、女子トイレを利用している。他の児童や保護者に直接説明していないが、現在のと ころ混乱は起きていないという。
 教育委員会の担当者は「医師のアドバイスが受け入れの最終的な判断になった。今後の対応は、そのときそのときで判断をしていきたい」と話している。
 〈性同一性障害〉心と体の性が一致せず、自分が間違った性別に生まれたと確信しているため、社会的、精神的に困難を抱えている状態。1万 〜10万人に1人の割合でいると推定される。日本精神神経学会ガイドラインで、ホルモン療法や性別適合手術などの治療指針を定めている。04年に特例法 が施行され、性別適合手術を受けた独身の成人について、子どもがいないなどの条件を満たせば、戸籍上の性別を変更できるようになった。

http://www.chinadaily.com.cn/world/2006-05/18/content_594365.htm
Primary school accepts boy as girl
(Reuters)
Updated: 2006-05-18 14:08
A Japanese primary school is allowing a 7-year-old boy with a gender identity disorder to take part in school life as a girl, an unprecedented move in this conservative nation, local media said on Thursday.
The decision marks a growing awareness in Japan of gender identity disorder, in which patients feel they are trapped in the wrong gender's body, although transgendered people and transsexuals still face widespread discrimination.
According to media reports, the boy in Hyogo, western Japan, was diagnosed with gender identity disorder before starting primary school after complaining that he felt uncomfortable with being a boy.
Based on the diagnosis and consultations with the boy's parents, the school is allowing him to participate as a girl, including using girls' bathrooms and attending swimming class in a girl's bathing suit.
Officials at the Hyogo board of education issued a statement neither confirming nor denying the reports, but saying they would protect the student's human rights and privacy.
Sex change operations have been legal in Japan since 1998 but are not permitted until patients become legal adults at 20. Preparatory hormone treatments are allowed from age 18.
In what was hailed as a major step forward, people with gender identity disorder -- whose numbers are estimated at more than 10,000, according to Kyodo news agency -- won the right in 2003 to change their gender on key identity documents under strict conditions.
Authorities had previously refused to allow gender changes except in the case of "mistakes."