性同一性障害男児の母親「自然な扱い 先生に感謝」 

http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0003651159.shtml
神戸新聞

性同一性障害男児の母親「自然な扱い 先生に感謝」 
 性同一性障害GID)と診断され、兵庫県播磨地方の小学校に女児として通学する6年生の男児(11)が、中学入学後も女子生徒と認められることになった。男児の母親は神戸新聞社の取材に対し「安心しました。そして小学校ではほとんど何事もなく過ごせたことに感謝します」と話した。

 母親は9月下旬、進学時の配慮について地元教育委員会と関係小・中学校が話し合った会議に出席。帰宅後、男児に「中学校に女の子の制服で行けるよ」と伝えた。照れも交じったような男児の笑顔を見て、制服を心配していたことを知り、とても安心したという。

 小学校時代は「初めは男の子か女の子かどっちなのか、と対応に戸惑う先生もいた」という。だが、次第に「腫れ物に触るような対応」ではなくなっていった。

 母親は「一人の児童として、性別に関係なく、ほかの子と同じように扱ってくれたのがありがたかった」と振り返る。

 しかし小学校でも、修学旅行では風呂に1人で入るなど、他の児童とすべて同じではなかった。すでに思春期の第2次性徴が始まっており、男児の体は急速に変化していっている。

 母親は「中学ではどこまで女の子と認めてもらえるか不安はある」としつつ、どうすれば(男児が)安心して過ごせるか真剣に検討する中学側の姿勢に驚いたという。

 「中学の先生と会議で話すまでは、何かトラブルがあったときの対応ばかり聞かれると思っていました」。会議終了後、進学予定の中学校長から「これから大変だけど一緒に頑張りましょう」と声を掛けられた。

 男児は周囲に自分の体の性を告白する「カミングアウト」をしていない。母親は「公表することで周囲の理解を得られるならいいが、むしろいじめの標的になるのではないかと心配している」と話している。

(霍見真一郎)

(2010/12/02 14:10)