性同一性障害小6男児、中学も女子生徒として通学 

http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0003645530.shtml
神戸新聞
性同一性障害小6男児、中学も女子生徒として通学 
 心と体の性が異なる性同一性障害GID)のため、女児として小学校に通学する兵庫県播磨地方の小学6年生の男児(11)が来春、地元教育委員会の配慮で、女子生徒として中学校に入学することが30日、分かった。男児は小学校入学時から女児として通学、中学でも制服やトイレなどを女子扱いとする。GIDの生徒に対し、制服などで配慮する例はわずかにあるが、他の生徒が「体の性」を知らないまま、「心の性」で中学校に入学するのは珍しい。


 地元教委は9月下旬、男児の通う小学校に主治医を招き、中学校への進学について考える会議を開催。男児の保護者や中学校教員も出席して、具体的な配慮について話し合った。

 調整を重ねた結果、制服やトイレ、出席簿は女子扱いする方針が決まった。小学校では女児用の水着で参加した水泳の授業は、現時点では見学の方向で検討している。

 さらに教委では、この男児に限らず、今後GID児童・生徒の対応を考える機関として、幹部を委員長とする「GID支援対策会議」と、その下部組織「サポートチーム」を11月2日に発足させた。

 男児は、自分の体の性について打ち明ける「カミングアウト」をしていない。これまでに埼玉県で小学2年の男児GIDと診断され、学校側が児童に事情を説明して女児扱いに変更した例はあるが、他の生徒に知らせないまま、小、中学校を通した配慮は異例といえる。

 男児の成長に伴って、周囲との摩擦や課題が生じ始めているといい、男児本人は「中学校に入るとき、仲がいい女の子の友だちには、体は男だと打ち明けるかもしれない」と話している。

(霍見真一郎)


 【性同一性障害】 体の性別と、自分が属すると考える性別が異なる疾患。原因は不明で、日本精神神経学会の委員会によると、国内の主要専門医療機関で受診した人は2007年末現在、延べ7177人。委員会のガイドラインはホルモン療法を18歳以上、性別適合手術を20歳以上と定める。戸籍上の性別変更は、性別適合手術を受けたことなどを条件に認められている。

(2010/12/01 08:30)