性同一性障害を受け入れ 小2男児、女児として通学 播磨地域

神戸新聞
http://www.kobe-np.co.jp/kobenews/sg/0000033162.shtml
性同一性障害を受け入れ 小2男児、女児として通学 播磨地域

2006/05/18

  播磨地域の小学校二年の男児(7つ)が、心と体の性が一致しない「性同一性障害GID)」と診断され、女児として学校生活を送っていることが十七日、分 かった。教育委員会が保護者側の意向を受け入れ、現場の教職員には事情を説明したという。GID学会(神戸市、理事長=大島俊之・神戸学院大学法科大学院 教授)によると、低学年の児童がこうした形で受け入れられるのは全国的に極めて珍しく、思春期の「第二次性徴」を控える年齢であることからも、今後の対応 が注目されそうだ。
 保護者や関係者によると、男児は一歳のころからスカートやぬいぐるみが大好きだった。母親は「幼い子の興味の範囲内」と思っていたが、五歳のとき、兄と同じ少年野球教室に入れられることをかたくなに拒絶。ほとんど食事を取らなくなる日が続いたという。
  このため、母親が自宅近くの病院に相談したところ、「男女と区別せず、子どもが望むように育ててあげては」とアドバイスされた。小学校入学を控えた昨年一 月、祖母が教育関係者に「女児で受け入れてもらえないか」と相談した。大阪の病院で専門的検査を行い、GIDとする診断書を学校に提出。教育委員会や学校 側と面談した結果、女児としての異例の受け入れが認められた。
 男児の名前は、どちらの性でも通用するもので、入学後は出席簿のほか、トイレや身体測定も女児扱い。水泳には女児の水着で参加し、他学年と一緒になる夏休みのプールは自粛した。今年四月、進級してクラスメートや担任が替わったが、特に混乱は起きていないという。
  教育委員会は「医師が『本人が生活しやすいようにしていくことが基本』としたことが決め手となった」と説明。「もし今後、体の性に戻ることがあったとして も対応できるよう態勢を整えたい」「医師の意見に耳を傾けながら、子どもの成長を温かく見守っていきたい」と話している。
 男女ごとの特徴が顕著になる第二次性徴を迎えたとき、体が男性化していく男児を「同級生やその親がどこまで理解できるかが課題」と専門家は言う。
 母親は「できれば普通の女の子として接してほしい」と話している。
(霍見真一郎)
性同一性障害 生物学的には完全に正常であり、しかも自分の肉体がどちらの性に所属しているかをはっきり認知していながら、その反面で、人格的には自分が 別の性に属していると確信している状態、とされる。国際的な診断基準があり、日本精神神経学会が作ったガイドラインに従い、ホルモン療法(18歳以上)や 性別適合手術(20歳以上)などの治療法がある。男性の3万人に1人、女性の10万人に1人に発現すると推測されている。2003年には特例法が成立。一 定の条件の下、成人した性同一性障害者が戸籍の性別を変更することが可能になった。
http://www.kobe-np.co.jp/kobenews/sg/0000033164.shtml
「心の性」優先 教員ら対応手探り

2006/05/18

  「女児で受け入れてもらえると聞いて、本人は涙を流して喜びました。興奮して眠れなかったぐらいでした」。性同一性障害GID)と診断され、「女児」と して播磨地域の小学校に通う男児(7つ)の母親は、そう打ち明けた。GIDの子どもが不登校自傷行為などに追い込まれる現状もある中、今回の学校側の受 け入れについて、専門家からは「画期的判断」と評価する声も出ている。一方で、水泳の授業や性教育など、教員らは手探りで対応に当たっている。
 「男の子のする野球はしたくない」
 男児は五歳のとき、兄と同じ少年野球教室に入ることを拒んだ。もっと幼いころから、おもちゃの好みなどは“女の子”だった。
 男性器が付いているから男の子だと母親は教えたが、「女の子なのになぜ付いているの」と泣いた。「(男性器は)いつ取れる?」と尋ねることも度重なった。
 相談に訪れた病院のアドバイスを参考に、中性的な格好で通っていた保育園に女児の服装で行かせた。形式上は男児扱いだったが、プールでもビキニを着た。野球の替わりにバレエ教室に通い始めた。
 「以来、表情が明るくなった」と母親。それだけに、「女児」としての通学が認められ、深く胸をなで下ろしたという。
   *   *
  岡山大学医学部の中塚幹也教授らがGID患者三百二十九人を調べたところ、小学校低学年までに性別の違和感を覚えた人は、二百四人(62%)。不登校の経 験は、九十六人と29%を占めた。千葉県の「あべメンタルクリニック」の阿部輝夫院長が、未成年のGID患者百十二人を対象とした調査では、八人(7%) がリストカットなどの自傷行為をしていた。
 今回の男児の場合、別の児童から「保育園では男子トイレに行っていた」と言われるなど、教室では難しい場面も生じている。性教育や、男児が女児用水着を着る水泳の授業など、今後の課題も見えてきた。
 自らもGIDである東京都世田谷区議の上川あやさん(38)は「子どもが体とは別の性だと主張しても周囲が相手にしないケースも多く、自分が自分でいていいという自己肯定感を子どもが持ちにくい」と指摘。偏見を持たず、周囲がサポートする必要性を訴えている。
http://www.kobe-np.co.jp/kobenews/sg/0000033171.shtml
難しい子どもの診断

2006/05/18

 GIDの原因は、いまだ明らかになっていない。子どもの場合は、人格が確立していないこともあり、診断は難しいといわれる。
 GIDは、世界保健機関(WHO)などが診断基準を設ける疾患で、日本精神神経学会は、医療対象として位置付けている。
 原因については、心理的、社会的要因や、母体内でのホルモンの影響など、さまざまな仮説があるが、専門家の多くは「脳に何らかの要因がある」とみている。
 正確な国内の患者データはないが、GID学会理事で精神科医の針間克己さん=東京都=が全国の主要医療機関に聞き取り調査したところ、受診者は、約四千人とみられるという。
  女児として学校に受け入れられた播磨地域の男児に関し、これまで約八百人のGID患者を診察してきた埼玉医科大学かわごえクリニックの塚田攻医師は、「性 別が分かるようになった幼少期から体と反対の性を望み、今もその性自認が続いているなら、GIDでほぼ間違いない」とみる。
 針間医師は「男児として無理に通学させると心理的にマイナス要因となる」としながらも、「成人したときに体の性に戻っている可能性もある」と指摘。「どちらに傾いても良いよう周囲が対応することが大切」と話している。



http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060518-00000075-kyodo-soci
小2男児が女児として通学 性同一性障害と診断

 兵庫県在住の小学2年の男児(7つ)が、心の性と体の性が一致しない性同一性障害と診断され、小学校が男児を入学時から女児として受け入れ、通常の学校生活を送っていることが18日、地元の教育委員会の話で分かった。
 専門家によると、第2次性徴を迎える前の小学校低学年の児童が、性同一性障害と診断されるケースはまれで、小学校が性同一性障害と診断を受けた児童の「心の性」を受け入れるのも極めて異例という。
 教育委員会によると、男児は小学校入学前からスカートやぬいぐるみが好きで、心の性と体の性の不一致を保護者に訴えていた。
 小学校入学を控えた昨年1月、男児の保護者が「女児として受け入れてもらえないか」と知人に相談し、大阪府の病院で検査を受け、性同一性障害と診断された。
共同通信) - 5月18日12時3分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060518-00000045-mai-soci


性同一性障害>小2「女児」として通学 兵庫

 兵庫県内で暮らす小学校2年生の男児(7)が、心と体の性が一致しない「性同一性障害」(GID)と診断され、昨年の入学時から女児として通学している ことが18日、分かった。地元の教育委員会が保護者側の意向を受け入れ、女児として学校生活を送っている。04年7月施行の特例法で、成人した性同一性障 害者が戸籍の性別を変更することが可能になったが、低学年の児童が公的な場で障害を認められる例は全国的に珍しい。
 会見した教育委員会によると、男児は幼少期からスカートやぬいぐるみが好きという兆候が見られた。5歳の時、保護者が兄と同じ少年野球教室に入れようとしたところ、嫌がって食事をとらない日が続いたという。
 母親が近くの病院に相談したところ、「男女を区別せず、本人が望むようにさせてみては」とアドバイスされたため、通っていた保育園に女児の服装で通わせ、プールでもビキニタイプの水着を着せると元気を取り戻したという。
 小学校に女児として受け入れてもらおうと、大阪の病院で専門的な検査を行い、GIDの診断書を得て学校に提出。教委、学校関係者と2度面談した後、女児としての受け入れが決まった。入学後、出席簿は女児の欄に入れられ、トイレや身体測定も女児として過ごしている。
 教委によると、入学させる際、教職員全員には説明したが、文部科学省、県教委には報告しておらず、PTAにも説明していないため、実際の性に気付いていないクラスメートが多いのではないかという。
 教委は「今後、体の性に戻ることがあったとしても、対応出来るよう態勢を整えたい」としている。
 性同一性障害学会理事長の大島俊之・神戸学院大学法科大学院教授は「学会で大学生や高校生の事例の報告はあったが、小学生のケースが公になったのは初め てではないか。体の性別よりも、心の性別に応じた今回の方針は良い対応だと思う。さらに体の男性化が進む小学校高学年になるまでに、周りの児童の理解力に 応じた説明をすることも今後の課題だ」と話している。
毎日新聞) - 5月18日12時9分更新

http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20060518/mng_____sya_____005.shtml
東京新聞
性同一性障害男児『女児』で受け入れ
医師の診断を重視
 兵庫県内で小学校二年の男児(7つ)が、心と体の性が一致しない「性同一性障害GID)」と診断され、女児として学 校生活を送っていることが分かった。GID学会(神戸市、理事長=大島俊之・神戸学院大学法科大学院教授)によると、低学年の児童がこうした形で受け入れ られるのは全国的に極めて珍しい。 
 保護者や関係者によると、男児は一歳のころからスカートやぬいぐるみが大好きだった。母親は「幼い子の興味の範囲内」と思っていたが、五歳のとき、兄と同じ少年野球教室に入れられることをかたくなに拒絶。ほとんど食事をとらなくなる日が続いたという。
 このため、母親が自宅近くの病院に相談したところ「男女と区別せず、子どもが望むように育ててあげては」とアドバイス された。小学校入学を控えた昨年一月、祖母が教育関係者に「女児で受け入れてもらえないか」と相談。大阪の病院で専門的検査を行い、GIDとする診断書を 学校に提出した。教育委員会や学校側と面談した結果、女児としての異例の受け入れが認められた。
 男児の名はどちらの性でも通用するもので、入学後は出席簿のほか、トイレや身体測定も女児扱い。水泳の授業には女児の水着で参加している。
 教育委員会は「医師が『本人が生活しやすいようにしていくことが基本』としたことが決め手となった」と説明。母親は「できれば普通の女の子として接してほしい」と話している。
 性同一性障害 生物学的には完全に正常であり、しかも自分の肉体がどちらの性に所属しているかをはっきり認知していな がら、その半面で、人格的には自分が別の性に属していると確信している状態、とされる。国際的な診断基準があり、日本精神神経学会が作ったガイドラインに 従い、ホルモン療法(18歳以上)や性別適合手術(20歳以上)などの治療法がある。男性の3万人に1人、女性の10万人に1人に発現すると推測されてい る。2003年には特例法が成立。一定の条件の下、成人した性同一性障害者が戸籍の性別を変更することが可能になった。