二重思考

最近、マイブームなのが、George Orwellの「1984」のオーディオCDをipodで聞くこと。
1時間半ほどのCDが9枚、すなわち合計13時間ぐらいの英語が聞けて、3170円。
こんな安い英語勉強法があったとは、いう感じである。

1984

1984

昔日本語で読んだ記憶はかすかにあるのだが、改めて聞くと大変面白い。
いろんなキーワードがあるが、代表的なのは、
「doublethink(二重思考)」。
これは「戦争は平和だ」みたいな相矛盾する概念を矛盾と捉えずに、そのまま受け止めるような思考方法を言う。


と思いつつ、精神医学の教科書を読んでいたら、精神医学用語にも「二重思考」というのがあるのを発見した。
教科書的には、ドイツ語ではdoppeldenken、英語ではdoubel thinking。
意味は、1984のとは違い、考想化声(思考のさいに、頭に浮かんだ考えが、言葉となって聞こえること)、考想化視(思考のさいに、頭に浮かんだ考えが、文字となって見えること)をさす。


要するに
1984二重思考:二つの反対の内容を一人が考える。
精神医学の二重思考:一つのことを二つの私が考える。


といった違いかなあ。


とここまで書いておいて、あれだが、実は精神医学での二重思考なる言葉、教科書を見てはじめて知った。
自分の無知振りが恥ずかしかったのだが、「二重思考」「doppeldenken」「doubel thinking」それぞれ医学文献を医学中央雑誌,medlineで検索したのだが、まったくヒットしなかった。
つまり誰もそんな言葉使ってないのである。


doppeldenkenはネット上では、
http://www.textlog.de/13151.html

Doppeldenken SANDER das Gefühl die augenblicklichen Vorgänge schon einmal ganz ebenso erlebt zu haben, Form der Erinnerungstäuschung.
ということが書いてあって、ドイツ語分からんので、英語に自動翻訳したら、
the feeling the present/immediate procedures already once completely likewise for experiencing, form of the memory deception


すなわちデジャブ感、見たいな説明で、日本の教科書とは全然違う。


というわけで、精神医学用語の「二重思考」はどうやら死語っぽい。
そんなもん教科書に載せるなよ、といいたい。